アイダエンジニアリング、新中期経営計画「AIDA Growth 30」を策定

・2026-2030年度で売上900億円・営業利益率9.0%目指す

アイダエンジニアリングは5月15日、2026年度を初年度とする新中期経営計画「AIDA Growth 30」(2026-2030年度)を発表した。成形システムビルダーとしてのコア技術を活かし、プレス事業の選択と集中、FA・サービス事業の拡大を軸に、持続的成長と企業価値向上を図る。

■前中期計画の振り返り:EVシフト影響でプレス受注減もサービスは堅調

前中期計画期間(おおむね2022-2025年度)では、外部環境の激変が業績に影を落とした。特に自動車業界の急激なEVシフトにより、EVモーターコア用高速プレスの拡大フェーズが2024-2025年度に縮小。受注状況が悪化した。
プレス事業では、原材料費高騰で粗利が低下したものの、高速プレスの生産体制を津久井工場に集約し、納期を大幅改善。2025年度後半からは大型機受注に改善の兆しが見られた。精密(UL)機や汎用機も安定的に推移した。
自動機・FA事業は、高速プレス周辺システムの内製化を進め、プレス間搬送装置の単体販売を継続。変動費削減に取り組んだが、材料費高騰の影響が残った。
サービス事業は堅調に増収。各拠点で近代化改修や予防保全ビジネスの需要が拡大し、売上をけん引した。人材確保が課題ながら、待遇改善を進めた。
全体として、売上高は2022年度688億円から2025年度786億円へ増加。一時的な営業赤字を脱し、営業利益率は回復傾向となったが、EV関連の変動が事業構造に課題を残した。技術面では環境負荷低減型の横型成形機や燃料電池セパレーター成形システム、DX・AIを活用した予防保全ツールの展開を進め、経営基盤強化も着実に進めた。

■2026年度以降の見通しと新計画の基本方針

新計画では、世界情勢の不確実性(地政学リスク、サプライチェーン制約)や市場変化(軽量化・成形素材の多様化、AI・DXの拡大、環境規制強化)に対応。「成長戦略6項目」への優先投資と資本コストを意識した経営を柱とする。

▽大きな方向性は以下の通り:

  • プレス事業の「コア・コンピタンス強化」(選択と集中)
  • FA事業・サービス事業の「拡大」(経営資源重点投入)
  • 人的資本経営、知的財産活用、価値創造の推進

▽数値目標(連結ベース、2030年度長期目標):

  • 売上高:900億円(2025年度786億円比 +約14%)
  • 営業利益:81億円(同 +約42%)
  • 営業利益率:9.0%(同改善)
  • EBITDA率:12.2%(同改善)
    中間年度(2028年度)では売上高850億円、営業利益率8.4%を目指す。FA・サービス事業を成長分野として資源を投入し、プレス事業は素材変化(アルミ・ハイテン材)対応とコア技術維持で貢献する方針。

■事業別強化策

  1. プレス事業のコア・コンピタンス強化
    精密・高速プレスの技術進化を継続。生産体制を津久井工場に集約し、相模工場などで中・大型プレスを拡充。自動車業界の軽量化ニーズに対応し、アルミ材やハイテン材の成形システム提案を強化。EVモーターコアだけでなく、多様な成形ニーズに柔軟対応する。
  2. FA事業拡大
    地産地消を推進し、海外生産拠点でFA生産システムを提供。モーターコア生産自動化システムを強化し、AIを活用した予知保全・知能化を進める。REJサーボドライブの連携や特殊モーター開発でニッチ市場を開拓。プレスとの一体化提案を増やし、付加価値を高める。
  3. サービス事業拡大
    FA連携によるレトロフィット(設備更新)提案を強化。グローバルユーザーの現地密着サービスを推進。新興国では「プレスアカデミー」を活用した教育事業を拡大し、生産性向上と安全性を支援。予防保全や近代化需要を取り込む。

■横断的取り組み

  • 人的資本経営:人財ギャップ分析による最適配置、若手・グローバルリーダー育成、エンゲージメント向上。ワーク・ライフ・バランスから「ワーク・イン・ライフ」への転換を目指す。
  • 知的財産・価値創造:特許等の攻め活用、M&A・投資による技術シナジー創出。長期戦略で社会課題解決と事業変革を両立。
  • 経営基盤:DX・AI活用、サプライチェーン強化、環境対策(CO₂など排出量15%減目標など)。
    資本政策では、成長投資約290億円(M&A120億円、基盤強化170億円)を計画。DOE3%以上安定配当、ROE8%以上を目指し、株主還元と投資のバランスを取る。適正ネット現預金200億円水準へシフト。

アイダエンジニアリングは「成形が価値創造を生む社会へ」をパーパスに掲げ、プレス現場の生産性・安全性向上と環境負荷低減を通じた社会的価値創造を加速させる。業界再編や技術革新が進む中、同社のコア技術と新計画の実行力が、機械産業の次世代スタンダードを形作る鍵となるか注目される。

新中期経営計画について