ハイスター・エール(Hyster-Yale) :2026年5月5日
クリーブランド(Cleveland)発、フォークリフトおよびマテリアルハンドリング機器の世界的メーカー、ハイスター・エールは、2026年3月31日を末日とする第1四半期(Q1)の連結決算を発表した。
■ 2026年第1四半期の業績概要
2026年第1四半期の連結売上高は7億9,500万ドルで、前年同期比13%減、前四半期比14%減となった。売上減少の主因は、軽量・低価格帯トラックへの需要シフトと、積み上げていた余剰バックログの解消にある。営業損失は2,800万ドルで、このうち約3,000万ドルが関税コストの直接的な影響によるものだ。
一方で受注は前四半期比7%増と、2025年第3四半期を底とした回復の兆しを示しており、市場の早期安定化に向けた動きとして注目される。
■リフトトラック事業
同社はカウンターバランス型フォークリフトのコア市場において、標準・バリュー構成の需要拡大に対応する新モデルを投入した。モジュール式・スケーラブルなプラットフォームを活用したこの戦略的対応は市場ニーズを捉えるものだが、移行期においては高価格帯の従来モデルの出荷が減少し、前年同期比での減収要因となった。
また、長引く経済的不確実性と顧客の慎重な購買姿勢も、Q1売上の押し下げ要因となったと同社は分析している。アメリカズ(Americas)地域での好調な価格設定と為替の追い風が、こうした減収を一部相殺した。
地域別の損益動向では、アメリカズが製品ミックスの軽量・低価格帯へのシフトおよび関税コストの悪影響により営業損失に転落した一方、EMEA(欧州・中東・アフリカ)では製品ミックスの悪化と部品販売量の減少により損失が拡大した。人件費は、2025年に開始したリストラ施策(Nuveraの事業再編を含む)による削減効果が現れ、前年同期比で改善した。
■ボルゾーニ(Bolzoni)グループ
アタッチメント・フォーク・リフトテーブルを手がけるボルゾーニ(Bolzoni)グループは、前年同期比で増収を達成した。為替の追い風がアメリカズでの販売単価低下・販売台数減少を補った。ただし、2025年に完了したバルマー(Valmar)買収に伴う人件費増加が利益を圧迫し、営業損益は悪化した。前四半期比では、アメリカズでの販売量増加とリフトトラック事業向けコンポーネント需要の拡大を背景に売上が改善し、製造固定費の吸収率向上とあわせて営業損失は縮小した。
■関税影響と見通し
同社は2026年通期について、上期が軟調、下期に回復という「前低後高」の展開を予想している。上期は出荷量の低迷、追加セクション232(Section 232)関税、広範なマクロ経済圧力が重しとなる見込みだ。
鉄鋼・アルミニウム・銅および中国製部品に課されるセクション232関税は、Q1の約3,000万ドルからQ2にさらに拡大する見通しで、価格転嫁・調達先変更・製品コスト削減といった緩和策は下期以降に本格的な効果を発揮すると見ている。また、イラン紛争に起因する原材料価格の上昇とサプライチェーン混乱も、マージンおよび製品供給力に影響を及ぼしている。
通期では小幅な連結営業黒字を確保できると同社は見込んでいる。Q2 2026が業績の最低点となり、下期の回復が上期の損失を上回ると予測している。
■コスト削減・構造改革
コスト削減施策として、2025年第4四半期に開始した再編プログラムは2026年から年間4,000万~4,500万ドルのコスト削減を目標とし、Q1決算にすでに初期効果が表れている。さらに2024年末に着手した製造拠点の最適化プロジェクトは2027年以降に本格的な成果が見込まれ、2028年には年間3,000万~4,000万ドルの収益・キャッシュ改善効果が期待されている。
設備投資額は2026年通期で5,500万~7,000万ドルを見込んでおり、生産水準と市場動向に応じて柔軟に管理される方針だ。
■長期戦略
ハイスター・イェール(Hyster-Yale)は「ポートからホームまで(Port to Home)、世界の物流を変革する」というビジョンのもと、コアリフトトラック事業の変革と並行して、倉庫用リフトトラック、車両自動化、エネルギーマネジメント、アタッチメントの各分野での新規事業機会の創出に取り組んでいる。
同社はハイスター(Hyster)®、イェール(Yale)®、ニューヴェラ(Nuvera)®、マキシマル(Maximal)®の各ブランドで製品を展開。ボルゾーニ(Bolzoni)グループはボルゾーニ(Bolzoni)®、アウラモ(Auramo)®、マイヤー(Meyer)®ブランドのアタッチメント製品を世界市場へ供給している。また、日本においては住友ナコフォークリフト(Sumitomo NACCO Forklift)社との合弁事業を展開している。本社はオハイオ(Ohio)州クリーブランド(Cleveland)。
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