ファナックは9月11日、生成AIを活用し、部品の設計図面を読み取ってアーク溶接用のロボットプログラムを自動生成する「AI溶接エージェント」を開発したと発表した。Google Cloudの最新技術を活用したもので、AIが図面から材料や製作する部品を理解し、溶接条件やロボットの動作を自動生成する。9月16日から東京ビッグサイトで開催される国際ウエルディングショーで実演し、12月末から出荷を開始する。
同製品は、AIの知能とロボットの物理的な動作を組み合わせる「フィジカルAI」をアーク溶接工程に適用したもの。ファナックがGoogleと協業して開発した。企業向け生成AI「Gemini Enterprise」を活用し、産業用ロボットの溶接作業をAIエージェントが支援する。
AI溶接エージェントは、アーク溶接で生産する部品の設計図を読み取り、①電流・電圧などの溶接条件、②ロボットの動作を自動生成する。これにより、従来必要だった溶接条件の設定やロボットへの教示を省き、「ゼロ設定、ゼロ教示」での溶接を実現する。
オペレータは、AIが生成した溶接条件やロボット動作をそのまま実行できるほか、必要に応じて条件や動作を微調整して溶接することも可能である。
図面の読み取りには、ファナックの協働ロボット「CRX」のタブレットTPに内蔵されたカメラを使用する。専用の図面読み取りカメラなどを追加する必要がなく、既存設備への導入を容易にした。
また、Gemini Enterpriseの企業向けセキュリティ機能により、AI溶接エージェントが読み取る部品図面などのデータを保護する。ユーザーのデータが他のユーザー向けAIの学習に利用されることもなく、産業用途での安全な利用に配慮している。
利用形態については、ファナックのCRXとAI溶接エージェントを使用するユーザーが、Google Cloudと個別に法人契約を新規締結する必要は必ずしもなく、ファナックとの既存契約の枠組みによるサブスクリプション形式で利用できる。
さらに、特定の溶接電源に依存しない点も特徴で、ファナックロボットに接続された溶接電源であれば使用できる。
自動車・トラック部品、建設資材、造船など幅広い分野でアーク溶接が用いられる一方、溶接条件の設定やロボット教示を担う熟練作業者の不足が国内外で課題となっている。AI溶接エージェントは、こうした技能者不足への対応と溶接工程の自動化を狙った新製品である。
ファナックは2025年12月の国際ロボット展でオープンプラットフォーム対応のフィジカルAIシステムを披露して以降、フィジカルAIに対する顧客からの引き合いが増えているとしており、今回のAI溶接エージェントによって溶接分野でのフィジカルAI実装を加速する。
9月16日から東京ビッグサイトで開催される国際ウエルディングショーでは、ファナックロボットによるフィジカルAIとAI溶接エージェントの実演を行う。
■概要
製品名:AI溶接エージェント
開発:ファナック、Google
主な機能:部品図面の読み取り、溶接条件の自動生成、ロボット動作の自動生成
対応ロボット:ファナック「CRX」
利用形態:サブスクリプション
出荷開始:2026年12月末
実演:国際ウエルディングショー(9月16日~、東京ビッグサイト)
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