・機器導入効果を見える化し現場改善と投資判断を支援
川崎重工業は5月18日、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和6年度「介護DXを利用した抜本的現場改善事業」において、デジタル技術を活用した「介護DXパッケージモデル」を開発したと発表した。介護現場の課題調査・分析から機器選定・導入、定着支援、さらには改善効果・投資効果の定量的な明示までを一貫して伴走支援する本モデルについて、全国の多様な介護施設での実証を通じて有効性を確認した。
本モデル最大の特徴は、川崎重工が有する屋内位置情報サービス「mapxus Driven by Kawasaki™」を活用した介護行動計測にある。これにより、これまで属人化しがちだったコンサルティングプロセスをデジタル化し、効率的かつ定量的な課題抽出と効果検証を実現した。介護職員の移動動線や作業時間を可視化することで、現場のボトルネックを明確に特定し、適切な介護機器・IoT技術の導入を促す仕組みを構築している。
■実証で確認された現場改善効果
約8か月間にわたる実証では、愛知・福岡・東京・北海道など地域・施設タイプの異なる8施設で取り組みを実施。主な成果として以下の点が挙げられる。
- 既存IoT機器の活用定着:機器の導入効果を定量測定・分析した結果、日中の事務作業時間が大幅に削減されることが可視化。職員の休憩時間増加や、食事・排泄・入浴といった直接介護時間の拡大につながった。
- 新規機器導入による負担軽減:介助業務の課題を特定し、移動介助機器を最適導入。利用者・職員双方の身体的負担低減を確認し、継続的な活用体制を構築した。
■経営判断を支える投資効果の可視化
施設経営者にとって特に有用なのが、費用対効果の明確化機能だ。ある施設では、職員用インカムと利用者見守りセンサの導入により、夜間巡回業務の効率化と入浴交代の円滑化を実現。間接業務時間で年間約600時間の改善を達成し、職員時給2000円換算で年間120万円相当の費用対効果を定量的に提示した。
これにより、従来把握しにくかった介護テクノロジーの経済的価値を「見える化」し、導入・運用に関する経営層の意思決定を強力に後押しする。
■今後の展開
川崎重工は今後、本パッケージを構成する各支援プロセスのさらなるデジタル化・効率化を進め、再現性の高い現場改善支援体制を確立する方針。全国の介護施設への横展開を通じて、職種間タスクシェアやテクノロジーとのワークシェアを推進し、介護施設と機器メーカーの連携基盤整備にも貢献していく。
同社は2024年8月に介護業務支援サービス事業へ参入しており、今回開発したモデルはその集大成となる。医療・介護従事者が安心して働ける環境づくりと、利用者への質の高いケア提供を両立する持続可能な介護現場の実現に向け、機械・デジタル技術の強みを活かした取り組みを加速させる。