KDDI、小売・物流向けロボット基盤モデル研究開発でGENIACに採択

・ローソン店舗のエゴセントリックデータを活用し、フィジカルAI社会実装を加速

KDDIは9月9日、経済産業省とNEDOが推進する国家プロジェクト「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」に、同社提案の「小売物流業等の現場業務を代替するロボット基盤モデルの研究開発」が採択されたと発表した。

本事業は、小売・物流現場の深刻な人手不足解消を目的に、フィジカルAI(物理世界で自律動作するAI)の社会実装を加速するもの。2035年には卸売・小売業で約77万人、運輸・郵便業で約23万人、計100万人規模の労働力不足が予測される中、商品や環境が刻々と変化する現場で柔軟に対応できるロボット技術の確立が急務となっている。

事業の中核は、東京・高輪のKDDI本社内従業員専用店舗「ローソン S KDDI高輪本社店」を実証拠点とする。店舗スタッフが軽量AIグラスを装着して通常業務を行うことで、バックヤードの在庫管理・品出し準備から売り場の陳列・補充まで、作業者視点のエゴセントリックデータ(視線・手の動き・操作情報)を高精度に収集。これを教師データとして、デジタルツイン上で多様なバリエーションを自動生成するシミュレーションデータと融合し、高品質かつ大規模な学習データセットを効率的に構築する。

このデータセットを用い、グローバルで先行するオープンなロボット基盤モデルをベースに、小売・物流特化型のロボット基盤モデルを開発する。多指ハンドによる「袋菓子など柔らかい商品」「形状が複雑な商品」のピッキングや、隣接商品を倒さずに棚補充を行う高度な動作制御を実現し、従来ロボットが苦手としてきた繊細・柔軟な作業を人間並みにしなやかにこなせるようにすることを目指す。

開発した基盤モデルは特定ハードウェアに依存せず、国内外の有力ロボットメーカーの多様な機体に搭載して実証を重ねるオープンエコシステムを構築する。実証知見をメーカー側に還元することで、汎用性の高いロボット開発を促進し、日本のフィジカルAI産業全体の底上げを図る。

推進体制では、KDDIがプロジェクト全体統括、通信・GPU計算基盤・セキュリティ提供、基盤モデル開発、データ収集・活用技術開発、現場実証を担当。グループ会社のELYZAがLLM開発知見を、KDDI総合研究所が画像認識・状況理解・軌道生成などの技術を提供する。ローソンは実証店舗と運営知見を、Genki Roboticsがヒューマノイドロボットを、リアルワールドがベースとなるロボット基盤モデルをそれぞれ協力する。

KDDIは本事業を通じ、2028年度以降に確立した技術とユースケースを技術公開する方針。国内小売・物流業へのロボット導入を加速し、中期経営戦略「Power-to-Connect 2028」で掲げる「AI労働力」の社会実装を推進する。通信・AI基盤から基盤モデル開発、現場実証、社会実装までを一気通貫で担うことで、「AI前提社会」のフロントランナーを目指す。

ローソンの吉田泰治執行役員(インキュベーションカンパニー プレジデント)は「店舗現場の課題解決にテクノロジーを積極活用しており、本取り組みの知見がフィジカルAIの社会実装と人手不足解消につながることを期待する」とコメントした。

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