日本製鉄(東京都千代田区)は9月16日、欧州における主要事業拠点であるU. S. Steel Košice, s.r.o.(ユー・エス・スチール・コシツェ、以下「USSK」)において、コシツェ製鉄所への電気炉建設および酸素プラント新設を柱とする総額約9億ユーロ(約約1,611億円、以下179円換算)の投資を決定した。USSKはUnited States Steel Corporation(ユナイテッド・ステイツ・スチール・コーポレーション)の100%子会社。あわせて9月15日(現地時間)、スロバキア政府との間で補助金契約を締結し、EU近代化基金から3.5億ユーロ(約627億円)の補助金を受給することが決まった。
今回の投資は、USSKの持続的・長期的な競争力強化と成長を実現すると同時に、欧州における低炭素鉄鋼生産への転換を後押しするもの。脱炭素化の進展や市場ニーズの変化を競争力強化と長期的価値創造の機会と位置づけ、高品質な低CO₂鋼材の安定供給体制構築を狙う。
新設する電気炉は年間約160万トンの生産能力を持ち、2030年の稼働開始を予定。既存の高炉設備と組み合わせた生産体制を構築することで、高品質鋼材の安定供給とCO₂排出量の大幅な削減を両立させる。同時に進める酸素プラントの新設は製鉄所の安定操業を支える基盤投資で、エネルギー効率向上とCO₂排出量削減に寄与する。稼働開始は2029年を予定している。
今回締結した補助金契約に基づき、「産業競争力の強化」と「脱炭素社会の実現」という欧州官民共通の目標実現を目的としたEU近代化基金から、スロバキア政府を通じて総額3.5億ユーロ(電気炉分3.1億ユーロ、酸素プラント分0.4億ユーロ)が給付される見通し。
なお、2026年5月13日に公表済みの通り、USSKは2026年10月1日付で日本製鉄の直接子会社となり、社名を「Nippon Steel Slovakia, s.r.o.」(略称:NSSK)に変更する予定。今回の投資決定は、日本製鉄の欧州事業に対する長期的なコミットメントと、スロバキアにおける鉄鋼事業の継続的発展への意志を改めて示す形となった。
日本製鉄は、NSSKをグローバル戦略における欧州の中核拠点と位置づけ、欧州の政策動向を踏まえつつ脱炭素の取り組みを推進する方針。高品質な製品・サービスの提供や雇用維持などを通じ、欧州地域の発展にも貢献していくとしている。