ABBロボティクス、ロシュ・ダイアグノスティクスと協業、AI搭載ロボットで臨床検査室の自動化を加速

ABB:2026年7月8日

・病理検査や中核検査室向けに新たなロボットソリューションを共同開発、デジタル接続型ラボの実現を目指す。

チューリッヒ(スイス)、ABBロボティクスは7月8日、ロシュ・ダイアグノスティクス(Roche Diagnostics)と、臨床検査室向けロボットソリューションの共同開発・商業化に向けたグローバル協業契約を締結したと発表した。両社はAIを活用したロボット技術を導入し、柔軟性、処理速度、信頼性を備えたデジタル接続型ラボの実現を目指す。

今回の協業では、ABBロボティクスの自律移動マニピュレーターや多関節ロボットなど幅広いロボット技術を活用し、病理検査におけるスライド搬送や、中核検査室(コアラボ)の検体・資材搬送を自動化するソリューションを開発する。

医療分野では、治療方針の約70%が診断検査結果に基づいて決定される一方、検査室では人材不足が深刻化している。高齢化の進展や個別化医療の拡大も背景に、検査の迅速化や業務効率の向上が重要課題となっている。

ABBロボティクスは、今回の協業により、検体前処理やラボ内物流(イントラロジスティクス)などの重要工程を大規模に自動化し、検査機関の処理能力向上を支援する。

最初の取り組みとして、ロシュ・ダイアグノスティクスの病理検査部門向けには、病理標本スライドの搬送・整理を自動化するシステムを開発し、デジタル化されたワークフローの構築を後押しする。

また、中核検査室向けでは、自律移動マニピュレーターを活用し、分析装置間で検体や資材を自動搬送するシステムを開発する。これにより装置間の接続性や柔軟性、一貫性を高め、検査処理の高速化を図る。ロボットが反復作業を担うことで、検査技師はより高度な分析業務に集中できるようになるとしている。

ABBロボティクス(ABB Robotics)のマーク・セグラ(Marc Segura)社長は、「今回の協業は、自律型・多用途ロボティクス『AVR™(Autonomous Versatile Robotics)』を臨床検査室へ本格展開する重要な節目となる。ロシュ・ダイアグノスティクスとともに、最新のフィジカルAI(Physical AI)を世界中の検査室へ提供し、患者に最適な医療を届ける上での課題解決に貢献したい」とコメントした。

一方、ロシュ・ダイアグノスティクス(Roche Diagnostics)のコアラボ部門ライフサイクルリーダー、マーク・ベーム(Marc Boehm)氏は、「ABBロボティクスとの協業により、あらゆる規模の検査室へ高い柔軟性と一貫性を備えたロボット自動化を提供できる。反復作業を自動化することで、検査スタッフは複雑な分析に専念でき、診断から治療方針決定までの時間短縮につながる」と述べた。

ABBロボティクスは、産業用ロボット開発で培った技術力や世界規模の生産体制、AI搭載ロボットポートフォリオを活用して産業グレードのラボ向けソリューションを開発する。一方、ロシュ・ダイアグノスティクスは診断技術や臨床検査の知見を提供し、実際の検査現場に適したシステムの実現を目指す。

ABBロボティクスは今回の協業を、検査室エコシステム全体との連携を強化する戦略の一環と位置付けている。実環境データから学習し、変化する状況へ適応するフィジカルAI技術を活用することで、拡張性と柔軟性を備えたラボ自動化を推進し、診断精度の向上と患者ケアの高度化につなげる考え。

ニュースリリース