・2027年労使交渉見据え人員体制を強化
ディア(Deere & Company):2026年9月15日
米農業機械大手のジョン・ディア(John Deere)は、クアッドシティーズ(Quad Cities)地区の工場拠点において、一時解雇していた従業員375人以上を復職させる計画を発表した。今年1月以降、アイオワ(Iowa)州およびイリノイ(Illinois)州で復職・新規採用した人員は合計800人を超えるという。
同社の発表によると、モリーン(Moline)にある播種・シリンダー部門(Seeding and Cylinder operations)には150人、イーストモリーン(East Moline)のハーベスタ・ワークス(Harvester Works)には約225人を、それぞれ復職させる方針。増員した人員は、今後の作付け・収穫シーズンを見据えた販売店在庫の積み増しや、中長期の生産計画の下支えに充てられる見込みで、あらゆる事業環境下で顧客対応を継続できる体制構築を狙うとしている。
同社スポークスパーソンのダスティン・レモン(Dustin Lemmon)氏は「先を見据えた計画は、顧客および製造現場で働く従業員に対する当社のコミットメントの一部だ」とコメント。生産スケジュールを中長期の事業計画に合わせて調整する中で、幅広い事業環境下でも顧客への機械・技術・サービス提供を途切れさせない体制を整えられるとの見通しを示した。
今回の復職発表は、2027年に予定される全米自動車労働組合(UAW)との労使交渉を前に行われた点が注目される。ジョン・ディアは今年、既存の労働協約を2029年まで延長する提案を組合側に打診していたが、UAWは8月23日の投票でこれを否決した経緯がある。同組合はクアッドシティーズなど各拠点で約1万人の生産労働者を代表しており、否決理由の一つとして、当時なお1,600人の従業員が一時解雇されたままであった点を挙げていた。UAW国際本部のショーン・フェイン(Shawn Fain)会長は声明で、「会社側は組合員が最も懸念する雇用の安定という課題に応える提案をしなかった」と述べている。この結果、2021年に締結された6年間の現行協約は、2027年10月まで維持されることになった。
背景には、2024年以降のジョン・ディアによる大規模な人員削減がある。農業機械需要の落ち込みや原材料・製造コストの上昇を受け、同社はアイオワ州ウォータールー(Waterloo)工場をはじめとする複数拠点で数千人規模の一時解雇を実施してきた。今年に入ってからは一転して段階的な復職を進めており、今回の発表はその流れを引き継ぐものとなる。
コメントを投稿するにはログインしてください。