・ロボット、デジタルツイン、NVIDIA技術を活用し、建設・製造現場の安全性と生産性を向上
キャタピラー(Caterpillar Inc.):2026年9月2日
キャタピラーは9月2日、AIロボット技術を手掛けるフィールドAI(FieldAI)と、物理AI(Physical AI)、自律化、ロボティクス分野で協業すると発表した。人手不足や生産性向上への要求が高まる中、建設現場や工場における安全性、作業効率の向上を目指す。リアルタイムの現場観測データを実行可能な情報へ変換することで、人と機械双方の能力を最大限に引き出す。
キャタピラーは今年初めのCESで、インテリジェントな建設機械、接続されたワークフロー、デジタル情報を活用した「未来の建設現場」の構想を示している。今回の協業では、同社が持つ建設・鉱山機械分野の知見、エンジニアリング能力、操業データと、フィールドAIのAI搭載ロボット向け基盤モデルを組み合わせ、複雑な建設現場や製造環境で自律的に機能する実用的なソリューションの開発を加速する。
初期的な用途として、自律型点検、建設現場・施設のデジタルツイン、状況認識の高度化、操業最適化などを想定している。
自律型点検では、設備やインフラを自動的に確認することで、安全性と現場の可視性を高める。建設現場や工場などのデジタルツインでは、設備、インフラ、操業状況をリアルタイムで把握。さらに、状況認識技術によって潜在的なリスクを早期に特定し、迅速かつ的確な意思決定を支援する。シミュレーション、自動化、AIによる分析を組み合わせ、操業効率の向上にもつなげる。
キャタピラーのジェイミー・マイナート(Jaime Mineart)最高技術責任者(CTO)は、「産業の将来は、人の専門知識とAI搭載機械をいかに効果的に組み合わせるかによって決まる。今回のような協業によって、その取り組みを加速する。顧客の安全性と生産性を高め、あらゆる操業からより大きな価値を引き出すため、AIを最も効果的な領域に適用していく」とコメントした。
また、同社の統合コンポーネント事業部門担当シニアバイスプレジデント、ジョン・タントランド(John Tuntland)氏は、先進技術やデジタルイノベーション、継続的改善の文化を通じて、設計から納入まで製造の在り方を変革していると説明。「これらの技術によって施設の稼働状況をより詳細に把握し、安全性向上や物流・工程フローの最適化、意思決定の高度化につながる機会を特定できる」としている。
■複雑な現場に対応する「汎用的な脳」
キャタピラーがフィールドAIを選定した背景には、従来型の自動化技術では対応が難しい、複雑で変化の激しい産業環境への導入実績がある。
フィールドAIの自律化技術は特定のロボットに依存しない「ロボット・アグノスティック」な設計を採用。基盤モデルを通じて、大量の操業データや建設現場データを実行可能な情報へ変換できる。これにより、キャタピラーが進める製造現場の近代化や「未来の建設現場」構想を補完する。
フィールドAIのアリ・アガ(Ali Agha)創業者兼CEOは、「キャタピラーは100年以上にわたり建設現場と製造施設の操業を形作ってきた。これらはまさにフィールドAIが得意とする環境であり、世界数百カ所に導入実績を持つ」と説明。「今回の協業により、建設・鉱山機械のリーディングメーカーに最先端の物理AI技術を提供し、AIを活用した重工業の次の100年をともに形作っていく」としている。
今回の取り組みでは、NVIDIA(エヌビディア)のアクセラレーテッド・コンピューティング、NVIDIA Omniverse(エヌビディア・オムニバース)技術、高精度なデジタルツインを活用する。操業データから構築したデジタルツインとAI、自律化技術を組み合わせることで、現場の可視性を高め、意思決定を迅速化し、次世代の産業オペレーション構築を支援する。
■両社の概要
・キャタピラー(Caterpillar Inc.)
建設・鉱山機械、オフハイウェイ用ディーゼル・天然ガスエンジン、産業用ガスタービン、ディーゼル電気機関車などを手掛ける。2025年の売上収益は676億ドル。世界最大級の独立系販売店網と、キャタピラー・ファイナンシャル(Cat Financial)による金融サービスを展開している。事業セグメントは「パワー&エネルギー」「コンストラクション・インダストリーズ」「リソース・インダストリーズ」。
・フィールドAI(FieldAI)
非構造化環境で汎用ロボットを展開する自律化ソフトウエア企業。多様なロボットと作業に対応する「汎用的な脳」として自律化ソフトウエアを提供する。独自の「フィールド・ファウンデーション・モデルズ(Field Foundation Models)」は、データ駆動型AIと物理ベースの推論、不確実性認識を組み合わせ、従来はロボットにとって予測困難とされた環境での安全かつ信頼性の高い運用を可能にする。グーグル・ディープマインド(Google DeepMind)、NASAジェット推進研究所(NASA JPL)の火星探査プログラム、国防高等研究計画局(DARPA)のSubterranean ChallengeやRACERプログラムなどの経験を持つ人材が経営陣に参画している。これまでに4億ドル超を調達している。
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