・プログラム制御で洗浄部位へ自動アプローチ、作業工数4割・使用水量5割削減へ
日本航空(JAL)グループは8月28日、空港DXの一環として、Aerowash(エアロウォッシュ)製のリモコン式機体洗浄ロボット「AW3」を成田空港に導入すると発表した。プログラム制御による自動アプローチ機能と多軸制御を備えた協働型機体洗浄ロボットの導入は国内エアラインで初めて。必要な操作訓練などを実施したうえで、2026年内の本格運用開始を予定している。
航空機の機体外部洗浄は、機体性能の維持や美観向上に欠かせない一方、これまで夜間帯を中心に専門スタッフが長柄のモップや専用洗剤を使って手作業で実施してきた。高所での作業や長時間にわたる力仕事となるため、作業者の身体的負担が大きく、省人化・自動化が課題となっていた。
JALでは約30年前にも有線リモコン式の機体洗浄機による作業効率化を試みたが、当時の技術的な制約などから継続運用には至らなかった。今回の導入は、最新の制御技術を活用し、人とロボットが役割を分担する「協働型」の作業支援機として再挑戦するものとなる。
AW3の大きな特徴は、機種ごとの洗浄部位をプログラムで指定できる点にある。主翼や尾翼などの洗浄対象を設定すると、ロボットのアームが登録済みの機体表面まで自動的にアプローチする。機体に近接する最終段階では作業員が手元の操作装置で微細な位置調整を行うことで、自動制御と人による繊細な操作を組み合わせる。
また、4WS(四輪操舵)/全向タイヤによる全方向移動機構を採用。航空機周辺の限られたスペースでも柔軟な移動・位置決めが可能で、洗浄作業における取り回し性能を高めている。
省力化効果について、メーカーのカタログ値では、従来の夜間手作業を中心とした機体洗浄と比較して、1機当たりの作業工数を最大40%削減できるとしている。JALは実際の現場運用を通じて効果を検証し、作業者の負担軽減や生産性向上につなげる。
作業環境の改善も導入効果の一つ。ロボットによって高所作業や長時間の力仕事を減らすほか、ドライ洗浄などで使用する有機溶剤・化学物質との直接接触リスクも低減し、安全性の向上を図る。
環境面では、機体1機当たりの使用水量を最大50%削減できるとしている。駆動源には電動バッテリーを採用しており、作業現場におけるCO2排出量の削減にもつなげる。
JALは今後、成田空港での運用を起点に、国内の他空港への導入も検討する。機体洗浄工程へのロボット技術の適用を進めることで、グランドハンドリング業務の安全性、品質、生産性を高めるとともに、作業者の身体的負担を軽減し、持続可能な空港運営を目指す。
なお、作業工数40%削減、使用水量50%削減はいずれもAerowashのカタログ値に基づく。
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