
北川鉄工所は10月15日、大成建設、ジオスターと共同で、コンクリートの練混ぜ工程で二酸化炭素(CO₂)を直接噴霧して内部に固定化する技術「T-Carbon Mixing」を用いた製造設備を開発し、ジオスター金谷工場(静岡県島田市)のコンクリート製造プラントに導入したと発表した。国内企業が実際のコンクリート製造プラントにガス状CO₂を直接供給して固定化する設備を導入するのは国内初の取り組みで、2026年9月からCO₂固定コンクリートを用いたプレキャスト製品の社会実装に向けた取り組みを開始している。
建設分野では、セメントやコンクリートの製造過程で発生するCO₂排出量の削減が重要な課題となっている。一方で、コンクリートへのCO₂固定化については、CO₂による中和反応が鉄筋腐食を招く懸念があり、鉄筋コンクリート構造物への適用が課題とされてきた。また、練混ぜ状態に応じた供給量や供給位置の制御、ミキサからのCO₂漏出防止も求められていた。
「T-Carbon Mixing」は、コンクリート材料の10~30%を先行して練混ぜながらCO₂を直接噴霧し、CO₂が固定化されたセメント硬化体を形成した後、残り70~90%の材料を加えて練り混ぜる技術。コンクリート内部にCO₂を固定しながらアルカリ性を維持できることが特長で、2023年に開発された。
今回開発した設備は、この技術を実際の生産ラインで運用できるようにしたもので、プレキャストコンクリート製品の製作性や構造性能、さらに場所打ちコンクリートへの適用可能性の検証を進めている。
CO₂を固定したコンクリートの主な特長は、コンクリート1立方メートル当たり約10kgのCO₂を固定できる点。従来の製造工程にCO₂固定機能を組み込むことで、建設資材の製造段階からCO₂排出量削減に寄与する。また、フレッシュコンクリートおよび硬化コンクリートの物性や耐久性は、同一強度レベルの通常コンクリートと同等の性能を確保しているという。
設備面では、練混ぜ工程や材料の動きに応じてCO₂供給位置を調整できる伸縮ダクト機構を採用し、ミキサ内部への効率的なガス供給を実現した。さらに、CO₂固定化速度に応じた供給量制御機能と密閉機構により、安全かつ安定的な供給を可能にしている。
また、通常のコンクリート製造とCO₂固定コンクリート製造を同一設備で切り替え運転できるほか、北川鉄工所の二軸ミキサ「ZCROSS」搭載プラントであれば、条件に応じて既設設備を改造して導入できるため、新たな大規模設備投資を抑えながらCO₂固定コンクリートの生産体制を構築できる。
今後3社は、CO₂供給制御技術の高度化や設備運用の実証を進め、プレキャストコンクリート製品への適用拡大を図るとともに、場所打ちコンクリート部材への展開も検証し、建設分野におけるさらなるCO₂排出削減につなげる考え。
北川鉄工所は1918年創業。建設機械、産業機械、鋳造機械、工作機器などを展開する総合機械メーカーで、コンクリートプラント向けミキサや関連設備も手掛けている。
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