・税引前利益6億4,200万ポンド、機械販売台数11万3,498台
JCB:2026年9月28日
英国の建設機械メーカー、JCBは9月、独自の水素技術を搭載した「JCBハイドロマックス(JCB Hydromax)」で時速406.320マイル(653.909km)を記録し、水素動力車の世界最高速度記録を更新したことを受け、英国での生産拠点刷新や米国での新工場稼働など、将来に向けた大型投資を加速している。
JCBは、英スタッフォードシャーのワールド本社の大規模な刷新に多額の投資を実施する一方、米国では来月、テキサス州サンアントニオに新工場を開設する。同工場はJCB最大の工場となり、今後5年間で1,500人の雇用を創出する計画である。
次の成長ステージに向けた取り組みの一環として、ジョージ・バンフォード(George Bamford)が父親のバンフォード卿(Lord Bamford)とともに同族企業JCBの共同会長に就任する。JCBのトップ交代は50年以上ぶり。JCBはスタッフォードシャーでの創業から成長を続け、現在では世界23工場、従業員2万人超を擁する英国最大級の非上場製造業企業となっている。
今回の発表に合わせ、2025年の業績も公表した。世界的な市場環境のばらつきや地政学的な逆風がある中でも底堅い業績を確保し、売上高は57億ポンド(約1兆1,900億円、前年比1.7%減)、税引前利益は6億4,200万ポンド(同6.6%減)、機械販売台数は11万3,498台(同5.3%減)となった。純借入金はなく、無借金経営を維持した。また、北米市場の需要が横ばい、インド市場が12%縮小する中でも、世界市場でのシェアを拡大した。
※1ポンドは約208円換算。
英国での投資の中核となるのが、1950年からJCBの本拠地となっているスタッフォードシャー本社の1億ポンド規模の刷新である。創業者のジョセフ・シリル・バンフォード(Joseph Cyril Bamford)がロセスターの旧チーズ工場に生産拠点を移したことに始まる本社の施設を刷新し、6,000万ポンドを投じた全自動粉体塗装工場や、生産フロアの全面的な近代化などを実施する。これにより、英国で8,000人を超える雇用の将来を確保する。
米国では、テキサス州サンアントニオに10億ドルを投じて建設した新工場が来月稼働する。延床面積は100万平方フィートで、JCBとして世界最大の工場となる。同工場では、世界最大の建設機械市場である北米向けに、テレスコピックハンドラー「ロードオール(Loadall)」や高所作業などのアクセス機器を生産する。
工場への投資と並行して、技術革新への投資も進めている。JCBは水素燃焼技術の開発に1億ポンドを投じるプログラムを実施し、現在、水素動力機械の生産を開始している。建設機械メーカーとして世界で初めて、認証を取得した水素燃料燃焼エンジンを市場投入したとしている。
このエンジンを搭載したJCBハイドロマックスは、先月、米ユタ州のボンネビル・ソルトフラッツで世界記録を樹立した。アンディ・グリーン空軍大佐(Wing Commander Andy Green OBE)の操縦により、塩湖で時速406.320マイル(653.909km)を記録し、水素を動力とする車両として史上最速を達成した。従来の水素燃焼エンジンによる最高速度記録を2倍以上更新したほか、20年前にJCBがディーゼルエンジン搭載車「ディーゼルマックス(Dieselmax)」で樹立した記録も上回った。
JCBハイドロマックスには、英ダービーシャー州フォストン工場で製造した量産ベースの水素エンジン2基を搭載した。構想から世界記録樹立までの期間はわずか18カ月だった。
人材育成にも注力している。英国のエンジニアリング人材不足への対応を目的に、アンソニー・バンフォード(Anthony Bamford)が推進した「JCBアカデミー(JCB Academy)」は、教育規模を拡大している。2026年9月入学分では314人の募集枠に708人が応募し、開校以来続く高い人気を維持した。
2010年の開校以来、約3,750人の若者を教育しており、卒業生の就職または進学率は100%としている。また今月には、6,300人を超える応募者から選抜された新規の見習工、学部卒業生、大学院卒業生ら計116人がJCBに加わった。
JCBのバンフォード会長は、「昨年、JCBは創立80周年を迎えた。将来を見据え、スタッフォードシャー本社の刷新や先駆的な水素技術、テキサス州の新工場など、事業の将来に向けて大規模な投資を進めている。この次のステージの一環として、息子のジョージがJCBの共同会長に就任することを大変うれしく思う。JCBは決して立ち止まる企業ではなく、今回の投資によって今後の機会を捉える体制を整える」とコメントした。
ジョージ・バンフォード共同会長は、「祖父が1945年にJCBを創業して以来、英国でのイノベーションと投資は、われわれの取り組みの中心にあった。JCBハイドロマックスは、英国のエンジニアリング技術が何を実現できるかを世界に示した。その精神は、われわれが製造するすべての機械に息づいている。JCBは長年にわたり世界展開を進めてきたが、われわれの本拠地は常に英国であり、施設と新製品への今回の大規模な投資は英国にとってもJCBにとっても良いニュースとなる」と述べた。
JCBのグレーム・マクドナルド(Graeme Macdonald)CEOは、「2025年は世界各地の市場環境が混在し、より厳しい年となったが、JCBは全体として堅調な業績を達成した。機械販売台数は約5%減少したものの、より有利な市場・製品構成により、売上高はおおむね安定した。JCBにとって重要な市場である北米で市場が成長せず、インド市場が12%縮小する中でも、2025年には世界市場でのシェアを拡大した。これは前向きな成果である。2026年の全体的な見通しは、地政学的な不確実性が続くものの緩やかな成長が見込まれる。テキサス州とスタッフォードシャーで新たな生産能力が稼働することで、その機会を活用できる体制が整っている」としている。
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