川崎重工、ヘルスケア分野向けソーシャルロボット「Home LEO」の試作機が完成

川崎重工業は10月6日、ヘルスケア分野向けソーシャルロボット「Home LEO(ホーム・レオ)」の試作機を製作したと発表した。フィジカルAIを活用し、周辺環境の認識から状況に応じた判断、自律的な行動までを行うことで、高齢者の在宅生活支援を目指すロボットだ。

「Home LEO」は、一緒に暮らす高齢者に寄り添い、会話や見守り、日常生活のサポートを実施する。高齢者本人の好みや衣食住に関する生活データを継続的に収集し、日常のコミュニケーションに活用するほか、必要に応じて医療機関や介護施設などと共有・連携する。これにより、高齢者が適切なサポートを受けながら、住み慣れた場所で安心・安全に暮らせる期間を延ばすことを目標としている。

日本のヘルスケア業界は、少子化に伴う人口減少と高齢化の進展により、医療・介護の地域間格差、医療従事者や介護職員の慢性的な人材不足、社会保障費の増大といった課題に直面している。医療機関や介護施設ごとの対応では難しい状況を踏まえ、医療・介護・在宅をつなぐ新たなソリューションが求められている。高齢者の在宅期間が延びることで、社会活動への関与が増え、QOL(Quality of Life)の向上とともに、医療・介護にかかる社会保障費の抑制も期待できる。

同社は「Home LEO」により、社会保障費の抑制だけでなく、高齢者とその家族の心理的・身体的負担を低減し、高齢者自身が望む生活ができる社会の実現を目指す。今後は厚生労働省、経済産業省、地方自治体などの行政機関、医療・介護機関、AIテック企業などと連携しながら実証試験を重ね、2028年度の市場投入を予定している。

川崎重工グループはこれまで、手術支援ロボット「hinotori」、屋内配送ロボット「FORRO」、セミヒューマノイドロボット「Nyokkey」、屋内外位置情報サービス「mapxus Driven by Kawasaki」などを通じて、医療機関や介護施設向けのヘルスケアソリューションを展開してきた。「Home LEO」の追加により、支援領域は在宅まで広がる。医療・介護施設から在宅までをワンストップで支援するソリューションを提供し、高齢化に伴う社会課題の解決に貢献していく方針。

■主な特長(今後の開発で実装予定の機能を含む)は次の通り。

  1. 一人ひとりに寄り添うコミュニケーション
日々の会話や見守りを通じて、生活習慣や好みを収集・理解し、利用者に合わせたコミュニケーションを重ねることで、高齢者の暮らしに寄り添う。
  2. 安心・安全な在宅生活を支援
転倒や体調変化、火の不始末、来訪者への対応など、日常生活に潜むリスクや異変の兆候を検知。利用者本人に働きかけるとともに、家族や介護関係者と連携し、安心・安全な在宅生活を支える。
  3. フィジカルAIによる自律的な生活サポート
長年培ってきたロボット技術にAIを融合し、利用者や周囲の環境を認識して自律的に移動・行動する。住居内の移動や物品の探索などを能動的にサポートし、日常生活の負担や手間を軽減することで、高齢者の自立した暮らしを支える。
  4. 医療・介護・在宅をつなぐヘルスケアプラットフォーム

    会話や行動、健康状態など、利用者の日常データをセキュアな通信環境のもとで継続的に取得・蓄積。本人の同意と適切な情報管理を前提に、医療機関や介護施設と共有・連携し、切れ目のないケアの実現を支援する。

試作機の寸法は全長640mm×全高675mm×全幅390mm(膝立ち時全高:830mm)。試作段階のため、今後変更となる可能性がある。

「Home LEO」の名称は、高齢者が「住み慣れた家(Home)とつながる」という基本コンセプトのもと、開発に込めた3つの思いを表す英語の頭文字から付けられている。L:Linking Life(人とロボットをつなぐ)、E:Empowering You(暮らしを進化させる力)、O:Optimizing(毎日の生活をスマートに)。

同社は今後も、高齢者一人ひとりに寄り添い、誰もが安心・安全に自分らしく暮らし続けられる社会の実現に向け、ヘルスケアソリューションの開発・提供に取り組むとしている。

ニュースリリース