HD建機、26年7~9月期売上は6%増、営業利益24%増

・為替差損1,460億ウォンで税引前は赤字に

HD建機(HD Construction Equipment):2026年10月27日

韓国の建設機械・エンジンメーカー、HD建機が発表した2026年第3四半期(7~9月)の連結決算は、売上高が2兆915億ウォン(前年同期比6.1%増)、営業利益(EBIT)が1,577億ウォン(同23.9%増)となり、本業は増収増益だった。営業利益率は7.5%と、前年同期の6.5%から1.1ポイント改善した。一方、前四半期(4~6月期)の10.2%からは2.7ポイント低下した。

ただし、為替関連損益(F/Xゲイン・ロス)が前年同期の354億ウォンのプラスから1,460億ウォンのマイナスへ急変し、税引前損益は40億ウォンの赤字(前年同期は1,361億ウォンの黒字)となった。純利益は18億ウォン(前年同期比98.2%減)、親会社株主に帰属する純利益は19億ウォン(同98.1%減)にとどまった。なお、前年(2025年)の数値は合併を前提とした内部データに基づくものであり、監査済みではない。
※1 ウォンは、約0.11円。

■経営成績等の概況
増収を支えたのは、発電機用・産業用エンジンの堅調な販売。営業利益は、建設機械部門の収益性改善とエンジン部門の安定した利益貢献で伸びた。純金融コストは148億ウォンの負担で、前年の178億ウォンから17.2%減少した。

営業利益の増減要因を見ると(前年同期の1,273億ウォンを起点)、販売数量・製品ミックスの改善が165億ウォンのプラス、価格改定と関税還付が150億ウォンのプラスとなった。為替が242億ウォン、その他が213億ウォンのプラスだった半面、変動費・固定費が466億ウォンのマイナス要因となった。同社は費用増の背景として、中東の地政学リスク長期化に伴う原材料費・物流費の上昇と、群山(グンサン)工場の拡張に伴う固定費の増加を挙げている。期中平均為替レートは、対ドルで1ドル=1,386ウォンから1,444ウォン、対ユーロで1ユーロ=1,619ウォンから1,636ウォンへとウォン安が進んだ。

■セグメントごとの経営成績

建設機械部門の売上高合計は1兆6,235億ウォンと前年同期比1.1%増。うち機械本体の販売は1兆4,473億ウォンで同0.3%増にとどまった。中東・アフリカの落ち込みを、ほかの地域の需要回復が補った形だ。

地域別では、中南米が2,214億ウォンで同26.8%増、北米が2,252億ウォンで同17.7%増と伸びた。アジア太平洋・CISでは、東南アジア・CIS・オセアニアが1,474億ウォンで同30.2%増、インドが1,015億ウォンで同26.6%増、韓国が1,604億ウォンで同3.9%増だった。インフラ・鉱山向けの需要が中大型機の販売を支えた。これに対し、中東・アフリカは2,130億ウォンで同24.2%減と大幅に落ち込み、中国も990億ウォンで同20.0%減だった。欧州(EU)は2,724億ウォンで同4.8%減。住宅市場の低迷や旧モデルの販売減が響いた。その他地域は69億ウォン(同82.1%減)。部品・サービス(AM/PS)売上高は1,762億ウォン(同8.3%増)で、同社は部品販売戦略を通じた収益力強化の基盤づくりを進めている。

建設機械(CE)単体の営業利益は1,099億ウォンと前年同期比25.7%増で、EBIT率は5.4%から6.8%へ1.3ポイント改善した。収益性の高い地域・製品の販売比率上昇が寄与した。

エンジン部門の売上高は3,940億ウォン(同24.0%増)となった。電力需要の高まりを背景とした発電用エンジンと、建機需要の回復を受けた産業用エンジンの販売が伸びた。営業利益は552億ウォン(同20%増)、営業利益率は14.0%で、前年同期比では0.5ポイント低下したものの2桁を維持した。用途別の構成比は産業用が38%(前年同期28%)、発電用が29%(同28%)、内製向けが11%(同13%)、防衛用が5%(同13%)となった。産業車両部門の売上高は1,164億ウォンで同1.7%減だった。

■財務体質
2026年9月末時点の総資産は9兆1,117億ウォン、総負債は4兆1,995億ウォン、株主資本は4兆9,121億ウォンとなった。負債比率は85.5%と、前四半期末の91.0%、2025年末の91.4%をいずれも下回った。有利子負債は1兆7,387億ウォンで、2025年末(1兆8,368億ウォン)より減ったが、前四半期末(1兆7,052億ウォン)からは増加した。現金及び現金同等物は5,618億ウォンに減少し、純有利子負債は1兆1,768億ウォン(前四半期末は9,373億ウォン)に膨らんだ。デット・エクイティ・レシオは35.4%、純有利子負債比率は24.0%。同社は資本拡大と債務削減により主要財務指標が改善したとし、将来成長への投資と株主還元強化を進めながら、財務構造のさらなる改善に努める方針を示した。

■将来予測・市場見通し

同社は、建設機械市場の世界販売台数について、2025年の57万3,000台から2026年は63万5,000台(3Q更新値)へ拡大すると見込む。前四半期時点の63万1,000台から上方修正した。

北米では、データセンター投資とレンタル需要の拡大が押し上げ要因となる一方、高金利と住宅市場の低迷が重荷となる。欧州はレンタル・買い替え需要を背景に成長が続くが、住宅着工の弱さが制約となる。アジア太平洋・CISではインフラ投資と鉱山需要で市場が拡大し、インドでは政府主導のインフラ投資が成長を支える。中国はインフラ投資と買い替え需要で回復基調にあるが、現地メーカー間の価格競争が激化している。韓国は買い替え需要で緩やかな成長が続く見通し。中東・アフリカではアフリカのインフラ・鉱山需要が堅調な一方、中東戦争の長期化が下期の不確実性要因となる。中南米は鉱山・インフラ投資を背景に底堅い。

販売面では、中東・アフリカは物流の制約と一部地域でのディーゼル供給障害で低迷しているが、物流正常化後の回復を見込む。アジア太平洋・CISではオセアニアのコンパクト機器、CISの超大型機の販売拡大に加え、20トン級の超エコノミーモデルの投入で成長を加速させる。北米・欧州は次世代新モデルやトラックの販売拡大、14トン級ショベル・ホイールローダーの強化で伸ばす計画だ。中国は採算重視の姿勢を維持し、コスト改善モデルと海外向け建設需要に注力する。韓国では6トン級・15トン級の主力モデルと次世代新モデルの販売を拡大する。

エンジン部門では、2026年から2031年までの売上高の年平均成長率(CAGR)を12%と見込む。成長ドライバーは、世界的な電力需要の拡大、仁川工場の生産能力拡張(GX22)、群山工場の完成(超大型・防衛・EPP向け)、北米での産業用エンジンの存在感拡大、電動化・水素などの将来成長プラットフォーム。世界の電力需要は2025年の2万8,200TWhから2030年に3万3,600TWhへ増加する見通し(IEA予測)で、年間増加幅は過去10年の約700TWhから、2026~2030年は約1,100TWhに拡大する。データセンターが需要増に占める割合は世界で約9%、米国では約50%とされる。同社は1~3MWの新型バックアップ電源(ガス・水素仕様は検討中)の投入や小排気量プラットフォームへの展開も進める。

リスク要因としては、中東戦争の長期化による物流の混乱、原油供給の混乱と新興国需要の減速、主要国の金利政策、関税を巡る不確実性が挙げられている。

2026年第3四半期プレゼン資料ページ