・通期予想を上方修正
日本精工(NSK)が10月29日に発表した2027年3月期中間期(2026年4〜9月)の連結決算は、AI関連投資を背景とした産業機械事業の需要回復や円安効果、ステアリング事業の連結化により、売上高が前年同期比26.2%増の5,203億5,100万円となった。営業利益は69.8%増の300億6,600万円、税引前中間利益は67.1%増の289億900万円、親会社の所有者に帰属する中間利益は78.8%増の188億3,800万円と、大幅な増収増益となった。為替影響は売上高で284億円、営業利益で71億円の押し上げ要因となった。
同社は2026年5月に「NSKビジョン2036」と「中期経営計画2028」を発表し、“Bearings & Beyond”のもと、「ポートフォリオ変革」「不断の構造改革」「適切な自己資本コントロール」に取り組んでいる。なお、2025年9月1日付でNSKステアリング&コントロール(NS&C)を連結子会社化しており、今中間期の業績にはNS&C及び同社子会社の売上高・損益が含まれる。
■産業機械は売上18.6%増・営業利益約3.8倍、自動車は横ばいも増益
産業機械事業は、工作機械・半導体製造装置向けの需要増加により、売上高が2,144億6,100万円(前年同期比18.6%増)、営業利益は184億7,800万円(同278.4%増)となった。為替影響を除く増収率は10.0%。営業利益率は8.6%(前年同期2.7%)に改善し、一過性要因を除く利益率は9.2%だった。
地域別では、日本は半導体製造装置・工作機械向けの販売増で増収。米州は関税還付による減収影響があったものの、アフターマーケット向けなどの販売増加で増収となった。欧州はアフターマーケット向けなどの販売が減少したが、為替影響により増収。中国は工作機械・半導体製造装置向けを中心に販売が増加した。
自動車事業は、日本・欧州・中国で販売が低迷したものの、円安により売上高は2,011億3,600万円(同0.0%減)と横ばい。為替影響を除くと5.8%の減収となる。営業利益は91億2,700万円(同3.0%増)と増益を確保した。電動ブレーキ用ボールねじなど重点領域製品の販売拡大は順調で、一過性要因を除く利益率は4.9%。下期は5%への改善を目指す。
地域別では、日本は自動変速機用部品の販売減少で減収。米州は客先への関税還付の実施により減収。欧州は需要低迷が続き減収。中国は日本車の販売不振が響いたが、電動ブレーキ用ボールねじの販売増に為替影響も加わり増収となった。
ステアリング事業の売上高は886億9,000万円、営業利益は30億6,800万円(前年同期は連結化に伴う一時的損益を含む42億5,500万円)だった。
■営業利益の増減要因
営業利益は前年同期から124億円増加した。内訳は、為替影響が+71億円、物量・ミックスが+54億円、体質改善が+79億円(売価改善+32億円、コストダウン+27億円、生産性改善+12億円、ポートフォリオ+8億円)、構造改革効果が+16億円。一方、インフレ・賃金上昇・関税影響が-48億円、費用増減が-20億円、構造改革費用・NTN株式会社との統合関連費用などの一過性費用が-16億円、ステアリング事業が-12億円だった。米国関税の影響は、コスト増と売価転嫁でネットゼロとなっている。
■第2四半期(7〜9月)は売上2,647億円、営業利益151億円
第2四半期(7〜9月)単独の売上高は2,647億円、営業利益は151億円(営業利益率5.7%)。第1四半期(売上2,556億円、営業利益150億円)から増収となった。産業機械事業は売上1,099億円、営業利益104億円(営業利益率9.4%)と四半期ベースで収益改善が進み、自動車事業は売上1,023億円、営業利益46億円だった。ステアリング事業は売上444億円、営業利益15億円。
■財政状態
2026年9月末の資産合計は1兆2,794億1,300万円で、前期末比396億4,400万円増加した。親会社所有者帰属持分比率は54.0%(前期末54.2%)。営業活動によるキャッシュ・フローは451億7,600万円の収入、投資活動は429億1,000万円の支出、財務活動は58億8,000万円の収入で、現金及び現金同等物の中間期末残高は1,500億5,400万円となった。
■通期見通しは上方修正
同社は7月30日公表の2027年3月期通期連結業績予想を修正した(配当予想の修正はなし)。売上高は1兆500億円(前期比15.2%増、従来予想比100億円増)、営業利益は560億円(同44.3%増、同60億円増)、税引前利益は535億円(同40.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は340億円(同48.7%増、同50億円増)。下期の為替レート前提は1米ドル155円、1ユーロ175円、1人民元22.5円。
セグメント別の通期予想は、産業機械事業が売上4,360億円(従来比110億円増)・営業利益375億円(同50億円増)、自動車事業が売上4,030億円(同20億円減)・営業利益175億円(同5億円減)、ステアリング事業が売上1,800億円・営業利益60億円。下期には構造改革費用75億円、統合関連費用47億円を織り込む。
配当は、中間配当17円(期末17円、年間34円)を予定している。
■中計目標達成へ「物量に頼らない改善」は計画どおり
中期経営計画2028で掲げる営業利益750億円の目標に向け、物量に頼らない改善270億円は計画どおり進捗しているとし、2027年3月期は55億円の改善を見込む。欧州の生産再編は今期中に完遂し、日本は下期に着手する計画。Beyond領域では、株式会社アトムとヒューマノイドロボット分野で戦略的パートナーシップのMOUを締結したほか、新開発の電動ハイドロブースタを発表するなど、ロボティクスやアクチュエータ、状態監視(PLM)事業の拡大を進めている。
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