・世界最高レベルの低NOx性能を確認、水素航空機実現へ前進
川崎重工業は10月8日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/次世代航空機の開発プロジェクト」の一環として進める「水素航空機向けコア技術開発」において、日本で初めて、世界最高レベルの低NOx性能を実現する新開発の水素燃焼器を搭載した小型航空エンジンの運転試験に成功したと発表した。水素航空機の実現に向けたエンジン技術開発における重要なマイルストーンとなる。
本事業では、水素を燃料とする航空エンジンの実用化に向け、水素燃焼技術および関連システム技術の開発を進めている。今回の試験では、同社が独自に開発した低NOx燃焼技術を採用した新型燃焼器を小型航空エンジンに搭載し、水素100%燃料による運転試験を実施した。試験は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の能代ロケット実験場で行い、エンジン始動から回転上昇、巡航相当の定常運転、加減速運転および停止までの一連の運転条件で、安定した燃焼と推力発生を確認した。
今回開発した燃焼器には、同社が発電用ガスタービン向けに開発・製品化したマイクロミックス燃焼技術を航空用水素エンジン向けに応用している。水素を多数の微小火炎に分散して燃焼させることで局所的な高温領域の発生を抑制し、NOx排出量を大幅に低減できる点が特長。
試験では航空エンジンとして必要な運転安定性と低NOx性能の両立を確認し、ICAO(国際民間航空機関)が継続的に強化している航空エンジン排出ガス規制への対応に加え、世界最高レベルの低NOx性能を実現できる見通しを得た。
本試験は、本事業における開発項目「水素航空機向けエンジン燃焼器・システム技術開発」の一環として実施したもの。同社はこれまで、小型水素航空エンジンの運転試験や液化水素燃料貯蔵タンクの実証試験にも取り組んできた。今回の成果を踏まえ、水素航空機の実現に必要な主要技術の確立に向けた取り組みをさらに加速する。
本事業のコア技術開発期間は2021年から2030年まで。今後は機体、エンジン、燃料タンクなどの各技術を統合し、水素航空機システムとしての成立性と性能を検証する地上実証試験を計画している。
同社は長年培ってきた航空エンジン技術と水素関連技術を融合し、水素航空機の実現を通じて航空分野の脱炭素化を推進するとともに、「液化水素サプライチェーンの商用化実証」をはじめとする水素事業の取り組みを通じ、2050年のカーボンニュートラル社会の実現に貢献していく方針。
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