FUJIが2026年11月5日に発表した2027年3月期第2四半期(中間期)の連結決算は、売上高が1,278億3,800万円(前年同期比60.7%増)、営業利益が336億3,100万円(同250.6%増)、経常利益が343億7,400万円(同236.1%増)、親会社株主に帰属する中間純利益が257億800万円(同186.0%増)となり、全項目で半期ベースの過去最高を更新した。
営業利益率は前年同期の12.1%から26.3%へ大きく上昇した。受注高は1,431億7,700万円(同65.0%増)、受注残高は804億7,200万円。1株当たり中間純利益は292円42銭(前年同期は102円06銭)。
財政面では、総資産が3,079億9,300万円(前期末比296億3,600万円増)、純資産が2,546億1,000万円(同221億5,500万円増)、自己資本比率は82.6%(前期末83.5%)。営業活動によるキャッシュ・フローは143億8,800万円の収入(前年同期は66億円の収入)だった。
■経営成績等の概況
世界的なAI需要の拡大を背景に、北米・欧州ではIT関連の生産活動が拡大し、中国ではIT関連と自動車の輸出が好調を維持した。中東情勢の緊迫化に伴う地政学リスクなど、先行きの不透明感は続いている。
こうした環境下で、主力のロボットソリューション事業は、モジュール型電子部品装着機「NXTR」と拡張型オールインワン装着機「AIMEXR」を旗艦機種として拡販を進めた。特にNXTRは、自動化や高密度実装への対応をはじめとする性能向上と機能拡張が評価され、さまざまな業種で需要が拡大した。
営業利益の増減要因(前年同期比240億4,000万円の増加)は、粗利益の増加が268億4,300万円、販管費の増加が28億300万円の押し下げ要因だった。粗利益の内訳は、AIサーバー・半導体関連の需要増による販売数量の増加が190億6,200万円、NXTIII(旧機種)からNXTRへの切り替えなどによる売価の改善が98億3,100万円、操業度の改善が10億5,800万円のプラス。一方で部材費が25億2,000万円、製造固定費が3億5,100万円のマイナスとなった(部材仕入価格の上昇が影響)。販管費では、売上増に伴う荷造運賃や販売手数料などの増加(22億5,500万円)、海外拠点の体制強化などによる人件費の増加(7億5,600万円)が響いた。
岡崎工場では、需要変動に対応する安定生産体制の強化に向け、人・モノ・場所の整備を進めた。あわせて部材の安定調達にも取り組んだ。
特別損益では、投資有価証券売却益20億4,600万円を計上した。法人税等は105億1,400万円。
■セグメントごとの経営成績
<ロボットソリューション事業>
売上高は1,235億3,500万円(前年同期比68.1%増)、営業利益は360億6,700万円(同211.0%増)と、いずれも中間期として過去最高を更新した。受注高は1,366億6,100万円(同67.9%増)、受注残高は747億8,600万円(同81.7%増)。
タイ、中国、ベトナム、マレーシアを中心とするアジアでAIサーバーおよび半導体関連向けの設備需要が伸びた。北米では通信インフラ、AIサーバー、車載関連の需要が伸びた。第2四半期(7〜9月)の受注高は538億1,900万円で、スポット要因がない中でも高水準を維持した。
地域別売上高(顧客所在地ベース、ロボットソリューション事業)は、他アジアが319億800万円、中国が315億9,900万円、タイが249億700万円、北米が192億1,000万円、ヨーロッパが80億9,200万円、日本が66億1,300万円、その他が12億200万円。北米は前年同期の58億5,300万円から3倍超に拡大し、タイも48億2,700万円から5倍超に伸びた。
業種別(四半期資料ベース)では、サーバー関連が第2四半期にアジア・中国・北米で大幅に増え、上期のサーバー比率は19%に上昇した。半導体関連(FUJI)は通信モジュール・光トランシーバー、SiP向けが高水準で推移している。機種別では、高速装着機NXTRが上期売上の54%を占め、旧機種NXTはゼロ%となり、NXTRへの一本化が完了した。
<マシンツール事業>
売上高は28億4,800万円(前年同期比45.3%減)、営業損益は1億3,600万円の損失(前年同期は2億1,600万円の利益)となった。全地域で自動車関連の設備需要が低調に推移したほか、期首の受注残が31億4,300万円と低水準だったことが売上減につながった。第2四半期単独では営業黒字(4,700万円)だったが、中間期累計では収支均衡に届かなかった。受注高は49億2,100万円(同15.4%増)、受注残高は52億1,600万円(同34.2%増)と、先行指標は改善している。
<その他事業>
売上高は14億5,400万円(前年同期は8億5,900万円)、営業利益は9,700万円(前年同期は6,300万円の損失)。制御機器製造、電子機器製造、画像処理開発などが含まれる。
■連結業績予想などの将来予測情報
2027年3月期通期の連結業績予想を、2026年8月3日公表値から上方修正した。第1四半期決算時に続く上方修正で、AIサーバー関連および半導体関連を中心に設備需要が高水準で続く見通しであることが理由。
修正後の通期予想は、売上高が2,540億円(前回予想比4.1%増、前期比40.6%増)、営業利益が655億円(前回予想比9.2%増、前期比123.7%増)、経常利益が662億円(前回予想比8.3%増、前期比111.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が482億円(前回予想比9.5%増、前期比206.4%増)。1株当たり当期純利益は548円25銭を見込む。営業利益率は25.8%の見通し。受注高は2,595億円(前期比25.1%増)を予想する。
前回予想との差は、売上高が100億円、営業利益が55億円、経常利益が51億円、純利益が42億円のそれぞれ増加。いずれも過去最高業績の更新となる見込み。
セグメント別の通期予想は、ロボットソリューション事業が受注高2,470億円・売上高2,420億円、マシンツール事業が受注高95億円・売上高90億円、その他事業が受注高30億円・売上高30億円。参考指標として、設備投資額は112億円、減価償却費は102億円、研究開発費は82億円を計画する。
進捗率で見ると、中間期の売上高は通期予想の約50.3%、営業利益は約51.3%に達している。なお下期の前提として、会社側は中東情勢など地政学リスクによる不透明感に言及している。
配当は、中間配当を95円(前年同期は40円)とした。期末配当予想は期初公表の95円を据え置き、年間配当は190円(前期は90円)となる見込み。配当予想の修正はないが、会社は「年間配当金80円を下限とし、配当性向50%以上」という中期経営計画の株主還元方針に変更はないとしている。通期業績を踏まえた期末配当額は、本決算の発表時に知らせる予定。
■株主還元と中長期の取り組み
・自己株式の取得・消却
同社は11月5日の取締役会で、資本効率の向上と株主への利益還元を目的に、100億円規模の自己株式取得と、取得分の全株式の消却を決議した。11月6日午前8時45分に、東京証券取引所の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)で、コミットメント型自己株式取得(FCSR)方式により買い付ける。取得株式数は、100億円を11月5日の終値で割った株数(単元未満は切り捨て)となる。野村證券からの取得分は、実質的な取得価額が一定期間の平均株価相当になるよう後日調整するため、最終的な株式数は変動する可能性がある。消却予定日は未定。
・事業戦略
ロボットソリューション事業では「手掛ける全ての製品でシェアNo.1を目指す」方針を掲げ、NXTRとAIMEXRを軸に新規市場・顧客の開拓を進める。FUJIのマウンターは、最小で0.16mm×0.08mmの極小部品を高速・高精度に実装できるほか、光電融合を含む最先端パッケージング技術を見据えたAIサーバー向けの大型重量部品(200mm×200mm、2.0kg)にも対応する。
電子部品実装ロボット以外の領域では、スマートロッカーシステム「Quist」、移乗サポートロボット「Hug」、廃棄物選別ロボット「R-PLUS」の事業化を推進している。マシンツール事業では、ターンキービジネスの競争力強化と新規顧客の開拓に加え、複合加工旋盤の新機種「ACUFLEX」の製品競争力向上に取り組む。
全社では、AIをはじめとするデジタル技術の活用による業務効率化、環境負荷の低減、人的資本の強化、ガバナンスの充実といったESG重視の経営を進めている。