クラース(CLAAS)、農業機械向けアンモニア駆動システムの共同開発研究プロジェクトで持続可能性を検証

・マン・エンジンズ、ダブリューティーゼット・ロスラウと2029年10月まで

クラース(CLAAS):2026年11月2日

独農業機械メーカーのクラースは11月2日、マン・エンジンズ(MAN Engines)およびダブリューティーゼット・ロスラウ(WTZ Roßlau)と共同で、農業機械向けアンモニア駆動システムを開発する研究プロジェクト「ガムコ(Green Ammonia Multifuel Combine)」を進めていると発表した。技術オープンな駆動戦略の一環として、化石燃料や水素に代わる持続可能な選択肢としてのアンモニア燃焼駆動の適合性を検証する。

農業機械は実用場面で長時間にわたる高い出力と高い信頼性を必要とする。ガムコでは、これらの要求を持続可能なアンモニア燃焼駆動でどのように満たせるかを調査する。燃料の製造から供給までを含むウェル・ツー・ホイール(Well-to-Wheel)の全体経路も評価対象としている。

プロジェクトはダブリューティーゼット・ロスラウが主導する共同研究で、第8次エネルギー研究プログラムの枠組みでプロジェクト実行機関である研究センター・ユーリッヒ(Forschungszentrum Jülich)を通じて助成を受ける。総予算は320万ユーロ。実施期間は2026年5月1日から2029年10月31日まで。

使用するエンジンはアンモニアを主エネルギー源とする。アンモニアは炭素を含まないため、燃焼時に直接的なCO₂排出を生じない。再生可能エネルギーを用いてエネルギーコストの低い地域で世界各地で生産可能で、エネルギー密度が高く水素に比べて貯蔵が容易な点から、グリーンエネルギーの輸送媒体としても適している。

一方で燃焼、排気後処理、貯蔵、安全な取り扱いなど高い技術的要求があり、プロジェクトでは実用に近い条件下でこれらを検討する。

エンジンシステムの開発はマン・エンジンズとダブリューティーゼット・ロスラウが担当。クラースは本社があるハルセウィンケル(Harsewinkel)で、同技術を農業機械へ統合する作業を進める。これによりエンジン開発と農機応用を一体的に進める。

トラクタ事業部のエグゼクティブ・バイスプレジデントを務めるマーティン・フォン・ホイニゲン=ヒューネ博士(Dr. Martin von Hoyningen-Huene)は「高性能な機械、特にフル負荷で稼働する収穫機や大型トラクタは、当面はエネルギー密度の高い液体燃料に依存し続ける。CO₂フットプリント低減のためには、HVOや認可が得られればB100バイオディーゼルなど既存技術・インフラをほぼそのまま活用できる代替燃料が有用で、水素はより大きな技術的課題を伴う。私たちは解決策の一つとしてアンモニア駆動の可能性と限界を研究し、理解を深めたい」と述べている。

低出力帯や適した用途向けには、すでに局所排出ガスのないバッテリー電動の選択肢が用意されており、クラースもこれに対応する。同氏は「2025年のアグリテクニカ(Agritechnica)で発表した『トリオン 537e シナス(TORION 537e SINUS)』は、中間充電を前提に最長16時間の稼働が可能で、製品ラインを補完するものだ。静音で局所排出のない技術は、農場近傍の作業や家畜福祉を意識した畜舎作業、自治体作業などに適している」と説明。同機は2026年夏から製品プログラムに加わっている。

クラースはこれまでもB100バイオディーゼルや水素エンジンなど、代替駆動・燃料に関する複数の研究プロジェクトに参加してきた。ホイニゲン=ヒューネ氏は「脱化石・脱炭素を成功させる鍵は、産業横断的な技術オープン性にある。これによりあらゆる用途に対し、さまざまな観点で最も適した持続可能な解決策を開発・市場投入できる」と締めくくった。

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