川崎重工とリコー、AIで設計業務の知識資産活用を推進する戦略的パートナーシップを構築

川崎重工業とリコーは11月2日、AIによる設計業務の知識資産活用を推進する戦略的パートナーシップを構築したと発表した。

本パートナーシップでは、リコーのAI技術を活用し、設計文書や図面など設計業務における高度な知識資産と、熟練技術者が持つ経験・判断・ノウハウなどの暗黙知を横断的に理解・整理し、活用する方法を検証する。これにより、設計ノウハウの継承と生産性向上を促進し、技術者がより創造的な業務に集中できる環境の実現を目指す。

製造業では、設計ノウハウや技術文書などの知識資産が企業競争力の源泉となる一方、企業に蓄積された膨大な設計文書や図面などに含まれる知識を十分に活用できていないことや、熟練技術者のノウハウが属人化していることが課題となっている。人手不足や熟練技術者の退職が進むなか、技術やノウハウを組織全体で継承・活用する仕組みづくりの重要性が一層高まっている。

こうした課題を踏まえ、企業内の知識資産をAIで活用する技術を持つリコーと、幅広い製造分野で高度な設計・技術の知見を蓄積してきた川崎重工は、両社の強みを掛け合わせ、設計業務における知識資産活用の高度化に取り組む。
航空機やロボットなど複雑な製品を手がける川崎重工の設計・技術領域において、リコーのAI技術や知見と、川崎重工のユースケース、業務データ、技術文書などの知識資産を掛け合わせ、実際の業務環境に即した検証を行う。
具体的には、企業内のドキュメントの読解に強みを持つリコーのLLM(大規模言語モデル)/LMM(大規模マルチモーダルモデル)を川崎重工のオンプレミス環境に導入し、設計文書や図面などに蓄積された知識の活用を進める。さらに、熟練技術者の経験やノウハウ、判断基準などの暗黙知をAIで整理・可視化し、組織内で継承・活用する方法を検証する。これにより、属人化しがちな設計ノウハウの継承と活用を促進し、設計者がより創造的な業務に集中できる環境の実現を目指す。

リコーは、機密性の高い設計データや図面情報を企業内で安全に活用できる、オンプレミス対応のマルチモーダルLLMを強みとしている。2025年12月には、企業内に蓄積された文書、図面、報告書などの知識資産や非構造化データをAIで利活用する企業向けAIプラットフォーム「Hi.DEEN(ヒデン)」を発表した。本パートナーシップでは、オンプレミス環境で利用可能なLLM/LMMを活用した生成AI基盤と、AI導入・活用の技術や知見を提供する。

川崎重工は、鉄道車両や船舶、航空機、ロボットなどの製品開発で蓄積してきた設計・技術領域の知見に加え、図面や表・グラフなどを含む高度な技術文書、業務データおよび実証環境を提供する。

今後両社は、本取り組みを通じて、知識資産の有効活用による設計業務の高度化を軸に、製造業の業務変革に資するAI活用の知見を蓄積する。得られた知見やユースケースの展開を通じて、生産性向上と技術継承の両立を図り、日本の製造業が抱える共通課題の解決に貢献していく。

川崎重工業 常務執行役員 技術開発本部長の川崎卓巳氏は「川崎重工には、長年にわたる多様な製品開発を通じて蓄積してきた、技術文書や図面、設計・製造ノウハウなどの貴重な知識資産がある。これらにリコーのAI技術を掛け合わせ、個々の技術者が持つ知見も含めて組織の力として活用することで、設計の品質と生産性を高めていく。AIに設計を任せるのではなく、AIを使いこなすことで技術者の思考と判断力を拡張し、より良い製品を、より早く生み出せる設計プロセスの実現を目指す。本パートナーシップを通じて得られた成果を当社の幅広い事業へ展開するとともに、日本の製造業が抱える技術継承や人手不足などの課題解決にも貢献していく」と述べている。

リコー コーポレート上席執行役員 Chief Strategy Officerの入佐孝宏氏は「先人たちが培ってきた技術やノウハウを次世代へつなぎ、その知見を組織全体の力へと変えていくことは、日本の製造業に共通する重要な課題。本パートナーシップでは、AIを活用して知識資産や暗黙知の継承・活用を支援するとともに、技術者の皆様が繰り返し作業から解放され、創造性を発揮し、新たな価値を生み出す活動により多くの時間を充てられるよう支援していく」とコメントしている。

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