AGCO:2026年10月29日
AGCOが2026年第3四半期(7~9月)決算を発表した。売上高は前年同期比8.6%減の23億ドル(約3,680億円、1ドル=160円換算)となり、欧州・中東や中南米の需要低迷が響いた。通期の売上高と利益率の見通しも引き下げた。
米農業機械大手AGCO(AGCO)が10月29日に発表した2026年第3四半期(7~9月)決算によると、売上高は22億6,250万ドルで前年同期比8.6%減だった。為替換算は0.1%の追い風だったが、為替影響を除いた実質ベースでは8.7%減となった。
1株当たり利益(EPS)は0.75ドル、調整後EPSは1.05ドルだった。前年同期は報告ベースで4.09ドル、調整後で1.35ドルである。前年同期の報告ベースの利益は、インドのトラクター・アンド・ファーム・エクイップメント(TAFE)持分売却益などで押し上げられていた。調整後営業利益は1億3,700万ドルで、調整後営業利益率は6.1%(前年同期7.5%)に低下した。
2026年第3四半期累計(1~9月)の売上高は約72億ドル(約1兆1,520億円)で前年同期比0.7%増となった。為替影響(3.4%の追い風)を除くと2.7%減である。累計のEPSは報告ベースで2.59ドル(前年同期8.45ドル)、調整後で3.42ドル(同3.11ドル)だった。調整後営業利益率は5.8%(同6.8%)だった。
エリック・ハンソティア(Eric Hansotia)会長兼社長兼CEOは「10年以上で最も弱い世界的な需要環境のなかで、粘り強い決算を達成した。投入コストの上昇や商品市況・通商環境の不透明感により、業界需要は前回の景気底を下回った。そうしたなかで生産を需要に合わせ、販売店在庫を管理し、コスト規律を維持した」と述べた。
さらに「農家所得の低下と世界の農業市場の不透明感が農家心理を圧迫し続けており、欧州・中東と中南米で一段と悪化した。燃費効率に優れたトラクター、AIを活用した選択的散布システム、自動運転ソリューションにより、農家の運営コスト低減と収益改善を支援していく」と語った。
■地域別動向
為替影響を除いた地域別売上高は、北米が前年同期比35.1%増と大きく伸びた。高馬力・中型トラクターや部品を中心に、ほとんどの製品カテゴリーで販売が増えた。営業利益は1,380万ドルとなり、前年同期の420万ドルの赤字(4,200万ドルの営業損失)から黒字転換した。販売・生産の増加に加え、IEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく関税の還付約1,300万ドルを計上したことが寄与した。営業利益率は2.8%だった。
中南米は同19.1%減。業界需要の軟化により販売が減少し、営業利益は前年同期比1,300万ドル減の740万ドルとなった。営業利益率は2.5%である。
欧州・中東は同18.1%減。ドイツ、フランス、イタリア、スペインを中心に需要が落ち込んだ。営業利益は前年同期比1億1,510万ドル減の1億3,730万ドルで、営業利益率は10.5%を確保した。
アジア・太平洋・アフリカは同9.2%増。豪州の販売増が、アジアやアフリカの多くの市場の販売減を上回った。営業利益は同1,720万ドル増の2,490万ドルで、営業利益率は13.9%となった。
なお2026年1月1日付の組織再編で、メキシコ事業を北米から南米へ移管し、南米を「ラテンアメリカ(中南米)」に改称した。過去の数値も遡及修正されている。
■市場環境
2026年1~9月の北米農機市場では、トラクター小売販売台数(コンパクトを除く)が前年同期比9%減となり、特に高馬力帯の落ち込みが大きかった。コンバインは10%減だった。商品価格や貿易・輸出需要をめぐる環境が農家の収益性に影響し続けており、業界需要は2026年末まで過去の平均的な水準を下回る見通しという。
ブラジルのトラクター販売は17%減、コンバインは38%減だった。大型機の需要が減少し、高金利や厳しい信用環境、農業収益の低迷が重しとなっている。経済・政策の先行き不透明感から、設備購入の先送りも広がった。
西欧のトラクター販売は1~9月累計で1%減、コンバインは2%減。第3四半期単独ではトラクターが9%減と悪化し、スペイン、ドイツ、フランス、イタリアの落ち込みが目立った。西欧の一部の高温・乾燥で収量にばらつきが生じ、農家心理を冷やした。畜産・酪農の収益が比較的堅調なことや機械の老朽化は更新需要を支えているが、作物収益の軟化や投入コストの高止まりが購入を抑えており、2026年末まで厳しい状況が続くと同社はみている。
ハンソティアCEOは「世界農業を支える長期的なファンダメンタルズは、食料需要の増加と農場の生産性向上ニーズに支えられ、揺らいでいない。PTxを通じて、ほぼあらゆるブランドの既存機にオートメーションや自動運転などの先進機能を後付けでき、新車に買い替えることなく最新技術の恩恵を得られる。プレミアムブランドと組み合わせた差別化戦略で、市場回復局面での成長を捉える」と述べた。
■財務動向
2026年9月末の現金及び現金同等物は4億1,510万ドル(約664億円)で、前年末の8億6,180万ドルから半減した。1~9月の営業キャッシュフローは2億1,840万ドル(約349億円)の支出超過(前年同期は2億2,450万ドルの収入超過)だった。棚卸資産は30億500万ドル(約4,808億円)と、前年末の27億930万ドルから増加している。
1~9月には4億370万ドル(約646億円)の自社株買いを実施した。1~9月の中にはカナダの金融合弁会社の持分売却も含まれ、同事業の売却に伴う為替換算調整額の解消で530万ドルが費用計上されている。
■通期見通し
2026年通期の売上高は98億~100億ドル(約1兆5,680億~1兆6,000億円)を見込む(従来は101億~102億ドル)。
調整後営業利益率は約7.0%(従来は約7.5%)を予想した。価格規律の維持、コスト管理、生産調整を継続する方針である。調整後EPSは約5.50ドルとし、従来の5.50~5.75ドルのレンジの下限に引き下げた。会社側は、2026年10月29日時点の関税政策と自社の緩和策・調達戦略を前提としており、今後の関税政策の変更により見通しが変動する可能性があるとしている。また、受領済みのIEEPA関税の還付金についても、行政府による控訴の結果次第で返還を求められる可能性があると説明している。
■AGCO(AGCO)について
AGCO(AGCO)は、農業機械と精密農業技術の世界的メーカー。フェント(Fendt)、マッセイファーガソン(Massey Ferguson)、PTx(PTx)、バルトラ(Valtra)などのブランドを展開し、ブランドを問わず装着できる後付け技術や自動運転ソリューションなどを通じて、農業の生産性向上と持続可能な食料生産を支援している。
第3四半期プレゼン資料
コメントを投稿するにはログインしてください。