・稲わらの土壌還元で土壌保全と化学肥料依存の低減を目指す
CNH:2026年10月8日
CNHは10月8日、タイ中部の稲作農家で、農業機械ブランド「ニューホランド(New Holland)」のトラクターとマルチャーを活用し、収穫後の稲わら焼却に代わる残渣処理方法を実証したと発表した。稲わらを細断して圃場に残すか、土壌にすき込むことで、土壌水分の保持や有機物の還元を促し、化学肥料への依存低減につなげる。
実証試験は、タイ中部ナコーンサワン県で稲や緑豆を栽培する農家で、地域の稲作生産グループの代表を務めるピチャイ・トーサ(Pichai Tosa)氏の圃場で実施した。2026年4月の稲収穫期に、ニューホランド製「TT3.50」トラクターとマルチャーを使用し、収穫後の稲わらを細断する作業を行った。
今回の試験は、適切な機械化によって収穫後の作物残渣を効率的に管理し、土壌の健全性を維持するとともに、次の作付けに向けた圃場準備を支援できることを示したものだ。CNHは、農業分野の知見や機械、地域との連携を組み合わせ、農家が直面する課題に実用的な解決策を提供する取り組みを進めている。
稲やサトウキビの栽培では、収穫後に圃場を速やかに片付ける方法として、作物残渣の野焼きが従来から行われてきた。しかし、野焼きは大気汚染や温室効果ガスの排出につながるほか、地表面の高温によって土壌微生物に悪影響を及ぼし、土壌中の炭素の損失を招く可能性がある。タイ中部の平野部だけでも、年間約480万tの稲わらが焼却されているという。
トーサ氏は「農家は、従来の方法が環境に有害であることを十分に理解していなかった。しかし現在は、新しい技術やイノベーションが登場し、より良い選択肢が得られるようになった」と述べた。
■作物残渣管理の知見を活用
CNH東南アジア・日本担当マネージングディレクターのマーク・ブリン(Mark Brinn)氏は「農家には、それぞれの圃場で実際に機能し、経営上の経済的・環境的な現実に対応できるソリューションが必要だ。今回の試験は、当社の機械、実践的なトレーニング、地域との連携によって、作物残渣を処分すべき廃棄物から有用な農業資源へと転換できることを示している。顧客のニーズに応えるこうしたイノベーションが、農業の生産性と回復力の向上を支える」とコメントした。
CNHはインドでも「サステナブル・エンバイロメント・ソリューション(Sustainable Environment Solution)」プログラムを通じ、連携を重視した作物残渣管理に取り組んでいる。同プログラムでは、機械による残渣の梱包作業に、農家向けの研修や圃場での実演を組み合わせている。
■CNHについて
CNHは、農業機械や建設機械を中心に、機械と先端技術を融合した製品・ソリューションを世界各地で展開する企業。160以上の市場で事業を展開し、エンジニアや技術者、業界専門家を含む3万4,000人以上の従業員を擁する。
農業分野ではケースIH(Case IH)、ニューホランド(New Holland)、シュタイアー(STEYR)、建設分野ではケース建設機械(CASE Construction Equipment)、ニューホランド建設(New Holland Construction)の各ブランドを展開する。金融サービスを提供するCNHキャピタル(CNH Capital)や、各種技術・地域ブランドも事業を支えている。2025年の売上高は181億ドル。
1842年にさかのぼる技術革新の歴史を持ち、量産型トラクター、ツインローター式コンバイン、工場組み込み型精密農業システムなどを手がけてきた。現在は、自律化や予測機能を備えた機械の開発を進め、食料生産とインフラ整備の将来を支える技術革新に取り組んでいる。