日本精工(NSK)は9月25日、必要な時だけ素早く油圧を発生させる油圧発生装置「電動ハイドロブースタ」を開発したと発表した。ボールねじを用いて油圧を発生させる方式を採用したのが特徴で、同社調べでは主要油圧機器メーカーの市販品として業界初という。工作機械や油圧プレス機、産業用ロボットなどの省エネ化と生産性向上への貢献を見込む。
一般的な油圧システムは、油圧を発生させる装置と、油圧シリンダなど力に変換する装置で構成される。従来は歯車などで油を加圧する油圧ポンプや、圧縮空気でピストンを押す空圧式装置が主流だった。しかし、油圧ポンプは待機時も電力を消費しやすく、空圧式は油圧発生までに時間を要するなど、省エネと高速動作の両立が課題となっていた。カーボンニュートラルに向けた設備の省エネルギー化が進む中、こうしたニーズに応える製品が求められていた。
電動ハイドロブースタは、モータの回転運動をボールねじで直線運動に変換し、その力で油を加圧して油圧を生み出す。発生した油圧を配管経由で油圧シリンダに送り、推力を得る仕組みだ。NSKが長年培ってきたボールねじ技術を適用し、高速性能と長寿命を両立させている。
■主な特長は次の通り。
- 消費電力の大幅削減:必要な時だけ作動するため、従来の油圧ポンプに比べ電力消費を抑えられる。工作機械のツールアンクランプ機構を例にすると、約89%の電力削減が可能(稼働時間4,000時間/年、工具交換416回/日などの条件で試算)。工作機械1台あたり年間約815kg-CO₂の排出削減効果も見込まれる。
- 高速動作による生産性向上:応答性に優れたボールねじ駆動により、素早く油圧を供給できる。空圧式では約1秒かかる作動時間を約0.2秒に短縮できるケースもあり、工具交換時間の短縮につながる。
- コンパクト設計:一般的な油圧ポンプより小型で、設備の省スペース化に寄与。配管設置が難しい装置など、従来油圧導入が難しかった用途への展開も期待される。
同社は2026年10月26~31日に東京ビッグサイトで開催される「JIMTOF2026(第33回日本国際工作機械見本市)」に出展し、2027年度の市場投入を目指す。
NSKは1916年に日本初の軸受を生産して以来、軸受や自動車部品、精機製品で産業を支えてきた。ボールねじや電動パワーステアリングでも世界をリードする位置にある。
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