ファナック、23年度売上は6.7%減の7,952億円、24年度予想は6.1%減の7,464億円

 ファナックが4月24日に発表した2024年3月期(2023年度)連結業績によると、売上高が7,952億74百万円(前期比6.7%減)、 経常利益が1,817億55百万円(前期比21.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利 益が1,331億59百万円(前期比21.9%減)となった。

 2023年度におけるファナックグループを取り巻く状況については、サプライチェーンにおける半導体等の部品の不足による生産活動への影響は落ち着いたが、世界的なインフレや高金利による景気減速の懸念、為替変動による影響等により先行き不透明な状況が続いた。加えて、2022年度下期から続く在庫調整が生産への影響を及ぼした。

 こうした中、ファナックでは業績への影響を最小限にとどめるべく、セールス、研究開発、工場、サービス、事務、全ての部門の総力を挙げて取り組んだ。一方で、こうした厳しい状況ではあったが、新商品、新機能の開発や工場の生産能力増強など、将来の発展に向けた取り組みを引き続き進めた。加えて、世界的に脱炭素社会へ向けた動きが広がる中、グローバルに事業を展開しているファナックグループにとっても気候変動は重要な経営課題であると認識しており、商品の省エネルギー性能向上に向けた開発を推進した。

 また、国際的な非営利団体であるCDPにより、気候変動分野の透明性とパフォーマンスにおけ るリーダーシップが認められ、2023年度のAリスト企業に初めて選定された。

 なお、2023年度において、工作機械・産業機械の省エネルギー化に貢献する 新世代のサーボシステムであるファナックαi-Dシリーズサーボが第66回日刊工業新聞社「十大新製品賞」本賞を受賞した。また、世界最大となる最大2.3t 可搬の産業用ロボットであるファナックロボットM-2000iAが公益財団法人大河 内記念会より、「大河内記念生産特賞」を受賞した。

 ファナック2024年3月期通期データ

■部門別の状況
[FA部門]
 FA部門については、CNCシステムの主要顧客である工作機械業界の需要は、国内を含む世界各国で減速傾向がみられ、CNCシステムの売上も減少した。
 FA部門の連結売上高は、1,803億84百万円(前期比27.9%減)、全連結売上高に 対する構成比は22.7%となった。

[ロボット部門]
 ロボット部門については、欧米共に前期からの受注残により、EV関連向けおよび一般産業向け共に堅調で売上が増加した。中国では、好調だったEV関連向けが若干下降気味であり、インフラ関係と電子産業向けも低調で売上が減少した。インドでは、自動車関連向け、一般産業向け共に好調で売上が増加した。国内では、自動車関連向けで回復傾向が見られており、売上が増加した。
 ロボット部門の連結売上高は、3,809億44百万円(前期比6.7%増)、全連結売 上高に対する構成比は47.9%となった。

[ロボマシン部門]
ロボマシン部門については、ロボドリル(小型切削加工機)では、中国をはじめとする海外市場の低迷が続き、売上が減少した。ロボショット(電動射出成形機)では、IT関連向けの需要が落ち込み、売上が減少した。ロボカット (ワイヤ放電加工機)では、欧米をはじめとする海外市場の低迷が続き、売上が 減少した。
ロボマシン部門の連結売上高は、1,033億88百万円(前期比22.1%減)、全連結 売上高に対する構成比は13.0%となった。
[サービス部門]
 サービス部門については、「サービス ファースト」をキーワードに、サービス体制の強化、IT技術の積極的な導入による効率アップ等を進めた。
 サービス部門の連結売上高は、1,305億58百万円(前期比16.5%増)、全連結売上高に対する構成比は16.4%となった。

■今後の見通し
 在庫調整による生産への影響が継続する見込みであることに加え、為替動向 や地政学的リスク等の懸念から、総じて予断を許さない状況が続くものと見ている。現時点での2024年度(2025年3月期)の連結業績予想は以下のとおり。

 売上高7,464億円(前期比6.1%減)、営業利益1,210億円(14.7%減)、経常利益1,494億円(17.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,073億円(19.64%減)。

 ファナックの2024年3月期決算短信

 2024年3月期決算説明資料