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ファナック、新型大型ロボット「R-2000/E」を発売、性能・保守性・環境性能を大幅向上

ファナックは12月1日、新型産業用ロボット「R-2000/Eシリーズ」の販売を開始したと発表した。同シリーズは、累計35万台以上の出荷実績を持つ大型ロボット「R-2000シリーズ」のフルモデルチェンジ機に位置づけられ、自動車、製造、物流など幅広い領域での自動化ニーズに対応する。

同社によると、新モデルは動作性能を高めたほか、保守作業の大幅削減と運用コスト低減を目的に設計を見直した。モデル刷新を通じ、近年課題となっている「労働力不足」「保全スキル不足」「自動化領域の拡大」に対応する。

■速度・可搬能力・リーチを強化 スポット溶接・物流用途に展開

新型R-2000/Eは従来機比で動作速度を最大20%向上し、自動車車体ラインなどスポット溶接作業のサイクルタイム短縮に寄与する。また可搬質量を最大10%、手首軸の可搬能力は最大85%高められ、大型ツールや重量ワークへの対応範囲を拡大した。

さらに最大リーチも10%伸長し、ロングリーチ仕様を追加。これにより、物流・搬送領域で需要が高まる大型パレットや長尺物の処理を容易とした。

■メンテナンスフリー設計を採用 保守人材不足に対応

新型シリーズの大きな特徴として、保守作業を原則不要とするメンテナンスフリー設計を採用した点が挙げられる。バッテリレスエンコーダによりバッテリ交換が不要となったほか、グリース・ケーブル交換も不要とした。

これにより、工場保全業務における作業負荷削減、保全人材不足への対応、TCO低減が期待できるとしている。

■Python・ROS対応、リモート保守に対応 制御アーキテクチャを開放

制御面ではPythonやROS(ロボットOS)に対応し、オープンプラットフォーム化を進めた。リモート保守やサイバーセキュリティ機能も強化し、AIやデジタルツインなど次世代システムとの連携を見据えた制御基盤を採用している。

■環境性能も改善 廃棄物ゼロ・消費電力削減

環境性能面では消費電力を従来比15%削減したほか、バッテリ・グリース・ケーブル交換が不要となったことで廃棄物ゼロを実現。騒音も25%低減し、作業環境改善にも寄与する。

■自動車・物流分野で普及加速へ 2026年3月量産開始

同社は、新型機により自動車分野ではスポット溶接工程の高速化、物流・搬送分野では長リーチ化による適用範囲拡大を見込む。また、省メンテナンス設計によりライフサイクルコスト低減を実現し、導入メリット強化を図る。

新型R-2000/Eシリーズは、12月開催の国際ロボット展で展示され、2026年3月に量産を開始する予定。

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