・電動建機の普及に対応、最大150kWhの電力供給が可能
リープヘル (Liebherr):2025年10月7日
リープヘル社は、建設現場における持続可能な電力供給ソリューションとして、モバイル蓄電システム「リデューロ・パワーポート(Liduro Power Ports :LPO)」を発表した。本システムは、ハイブリッドまたは完全電動の建設機械に対し、現地での排出ガスゼロ運転と充電を可能にする。
■電動化する建機市場への対応
地球規模および地域の気候目標達成に向けた排出削減の必要性から、建設機械の電動化要求は今後ますます高まると見られる。フリート運用事業者は、現行および今後の排出規制に対応するため、急速に増大するエネルギー需要に直面している。
建設現場では電力供給へのアクセスが制限されているか、全く利用できない場合も多い。このため、電動フリートは最大出力での機械運転、休憩時間中の複数台同時充電、負荷ピークの平準化といった課題に直面する。LPOは、現在市場をリードする電力密度とエネルギー密度を誇り、機械およびフリートへの電力供給に対する高効率ソリューションを提供する。
■LPO 100:小型・可搬性を重視
リープヘルは、今年のポリューテック(Pollutec)展示会(ブースH3-E108)において、量産製品としてLPOシリーズ最小モデルの「LPO 100」を発表した。同製品は、小型から中型の作業機械、例えばリープヘル製ホイールローダーL 507 E、路面清掃車、タワークレーンやモバイルクレーンなどへの効率的な電力供給に最適化されている。
総エネルギー容量はバージョンにより50kWhから150kWhの範囲で、ピーク出力は約60〜150kVAとなる。不十分な系統接続を補完する用途のほか、系統接続が利用できない場合の独立電源としても使用可能だ。系統接続の補完として使用する場合、蓄電システムが機械の負荷ピークをカバーするため、系統接続容量を大幅に削減できる。
スタンドアロン運転では、LPOは柔軟かつ高効率なソリューションとなる。建設現場では、高負荷ピークと長時間の低電力需要(照明や小型機器用など)が典型的である。モバイル蓄電システムは需要に応じて過不足なく電力を供給し、最適なコストパフォーマンスを実現する。負荷の大小にかかわらず化石エネルギーを一定量消費するディーゼル発電機と比較して、LPOは大幅に高い効率でアイドリング時間なしに電力を供給する。
本シリーズの蓄電ユニットは最大32Aで充電可能で、同時使用可能な複数の接続(16A/32A/63A/125A)を介して消費機器に電力を供給する。LPOは充電と放電の同時実行にも対応している。エネルギーおよび状態の監視は、ローカルコントローラーまたはスマートフォン・タブレット用デジタルアプリ「LPO Monitoring」を介して実施される。
シリーズは、シャーシなしの「LPO Basic」、トレーラーシャーシ付きの「LPO Drive」として提供される。さらに、LPOは吊り下げポイントを使用してクレーンや掘削機で現場内を移動でき、フォークリフトで全方向から持ち上げて移動することも可能だ。「LPO Basic」の基本寸法は2,434×1,520×1,433mm、「LPO Drive」は3,903×2,031×1,899mm(長さ×幅×高さ)。
■LPO 600:大型機械・フリート向け
LPO 600は、リデューロ・パワーポートシリーズの中型モデルレンジを代表する製品だ。この電池ベースの蓄電システムは、DC急速充電ステーションとAC充電接続を統合し、総エネルギー容量564kWhを備える。これにより、系統接続が利用できない場合でも、大型機械やフリートに十分な電力を供給できる。
2基の折り畳み式DC急速充電ステーション(各150kW)または追加のAC充電接続(タイプ2、32/65/125A、パワーロック)により、モバイル機械の迅速かつ柔軟な充電が可能となる。LPO 600自体も、32/63/125A、CCS2、パワーロックなど異なる接続を介して充電できる。基本寸法は標準10フィートコンテナ(3,048mm)と同じだ。
総エネルギー容量300〜1,200kWhの中型および大型LPOバリアントは現在開発中である。
■エネルギープランナー:建設現場の電力需要を最適化
エネルギープランナーは、建設現場の電力およびエネルギー需要をさまざまな工事段階で包括的に計画するためのブラウザベースソフトウェアだ。このツールは、建設現場およびフリートマネージャー、電気・エネルギー計画担当者、配車担当者のエネルギー計画と現場設営を支援する。
機能としては、まず計画中の建設現場を地図上に配置する。ソフトウェアは関連する電力会社と接続ポイントをそれぞれのコスト指標とともにユーザーに提示する。統合ライブラリには、特定の性能範囲を持つ幅広い機械タイプが含まれており、そこから計画する機械を選択してフリートを構成できる。計画エリアでは、工事段階の期間を決定したり、複数の工事段階を作成・命名したりすることが可能だ。
エネルギープランナーは、各工事段階における特定機械のエネルギー需要と充電フェーズを導き出し、消費量に基づいてアプリ内で調整できる。ソフトウェアは、建設機械の広範な統合ライブラリとリープヘルのブランド横断的な運用知識を活用している。
プロジェクトに関わるすべてのユーザーは、各工事段階についてアプリに保存された最新のエネルギー需要に協働でアクセスでき、利用可能な系統接続に基づいて、機械への効率最適化された電力供給のための適切な追加蓄電システムまたは電源を選択・計画できる。これにより、エネルギープランナーは計画の確実性を大幅に向上させ、建設作業のスムーズかつ効率的な進行を実現する。
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