不二越、第3四半期は増益転換も売上減少、構造改革の効果で営業利益62.7%増

不二越が10月6日に発表した2025年11月期第3四半期決算(2024年12月〜2025年8月)は、売上高が前年同期比2.9%減の1,742億円となった一方、営業利益は同62.7%増の66億円、経常利益は同169.4%増の51億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同31.0%増の36億円と大幅な増益を達成した。1株当たり四半期純利益(EPS)は161.29円(前年同期は119.23円)だった。

■事業環境と業績動向

第3四半期は、国内自動車分野で緩やかな回復が見られたものの、建設機械分野での需要低迷やアセアンでの在庫調整の影響を受けた。国内売上高は858億円(前年同期比2.2%減)、海外売上高は884億円(同3.6%減)となった。
利益面では、ロボットや油圧機器で操業度が悪化したものの、構造改革による固定費削減、原材料価格上昇分の販売価格への転嫁、生産ラインの自動化・合理化、調達コスト削減に取り組んだ結果、大幅な増益を実現した。

特別損益では、政策保有株式の縮減により投資有価証券売却益19億円を計上した一方、余剰設備や人員の適正化に伴う構造改革費用13億円を計上した。

■セグメント別業績

機械工具事業は、国内の産業機械分野で需要が増加したものの、中国におけるロボット需要減少の影響で、売上高は546億円(前年同期比3.9%減)となった。営業利益は工作機械の操業度改善と固定費削減により25億円(同10.6%増)と増益を確保した。

部品事業は、一部自動車メーカーの生産回復でカーハイドロリクスの需要が増加したが、国内建設機械メーカーの生産調整による油圧機器需要減少と、アセアンでのベアリング在庫調整により、売上高は1,085億円(同1.9%減)となった。一方、営業利益は設備・人員の適正化など構造改革により37億円(同272.4%増)と大幅増益となった。

その他の事業(主に特殊鋼)は、国内を中心に需要が減少し、売上高は111億円(同7.3%減)、営業利益は操業度悪化により4億円(同47.5%減)となった。

■通期業績予想

2025年11月期通期の連結業績予想は、2025年1月14日発表の数値から変更なし。売上高2,430億円(前期比1.3%増)、営業利益86億円(同29.6%増)、経常利益66億円(同55.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益40億円(同19.3%増)、1株当たり当期純利益175.51円を見込んでいる。

同社は総合機械メーカーとしての特長を活かし、脱炭素・EV化など産業構造の大変革を見据えた新商品開発や技術提案による受注・売上拡大と、事業全般の構造改革をより一層推進していく方針を示している。

不二越の2025年11月期第3四半期決算短信
補足資料