島津製作所、電動油圧システム「e-Hydro(イーハイドロ)」を開発

・油圧機器とモータの効率的な制御で、静かで快適な作業環境を実現

 ㈱島津製作所は4月4日、電動油圧システム「e-Hydro(イーハイドロ)」を開発したと発表した。同製品は、新開発のe-Hydro専用モータと制御機器に静音油圧ポンプ※1を組み合わせたトータルシステムで、EV(電動車両)化が進む特装車両など商用車に静音かつ効率的な作業環境を提供する。

 特装車両や建設機械、農業機械などの作業機は、小さな力を大きな力に変換できる油圧を活用して重量物を動かしている。近年、この特装車両や建設機械などでもカーボンニュートラルの達成が要求され、エンジン車からEVへの移行が進んでいるが、EVでは、油圧ポンプの駆動源であったエンジンが無くなるため、電動モータを追加する必要が生じる。電動モータを動かすためには車載バッテリーを使うが、重量問題もあり大きなバッテリーを積載することはできない。そのため、高効率の油圧ポンプ用モータが求められ、油圧ポンプも効率の良いものが適している。また、EVは運転音が静かなため、油圧ポンプにも静音性が求められる。

 「e-Hydro」は油圧ギヤポンプと専用モータ、ファームウェア※2を組み込んだ制御機器の組み合わせで構成され、同社が長年培ってきた油圧技術の知見を活かしてカスタマイズすることで、省スペースと最小限の電力消費でエンジン車と同等以上の作業機の操作性と作業効率を実現する。さらに、静音油圧ポンプの採用により、作業時の駆動音が際立つ夜間や街中でも、騒音を低減できる。島津製作所は、今後も市場や顧客ニーズに合わせて製品を改良するとともに、「e-Hydro」とIoT技術を組み合わせた新サービスを提供していく。

■e-Hydroの特長
・カスタマイズ制御による優れた操作性と省エネルギー
・専用設計による省スペース
・島津製作所技術「SERENADE Technologies」による静音性

 島津製作所は、特装車両を皮切りに、カーボンニュートラルの実現に向け様々な分野に同製品を提供していく。

画像・下:電動油圧システム「e-Hydro」を構成する油圧ポンプおよびモータ(左)と制御機器(右)

※1 静音化を実現する独自技術「SERENADE Technologies」を利用したギヤポンプ。
「SERENADE Technologies」は、ギヤポンプから吐き出される作動油の吐出圧力脈動(流量変動によっておこる圧力変動)を抑える技術です。SERENADEは島津製作所の商標。
※2 ハードウェアを制御するソフトウェア

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