日立エナジーは3 月 22 日、米国の送電事業者であるグリッド・ユナイテッドと、同国の複数の HVDC プロジェクト向けに、変換所の製造・プロジェクト推進に必要なリソースを確保する契約を締結したと発表した。
日立エナジーは今回の契約により、HVDC 変換所の提供に向けた生産能力の拡大と人財の確保・育成に計画的に取り組むことができる。また、設計の標準化により、複数プロジェクトを推進する際の効率性が向上する。同プロジェクトにより、東西電力網の連系容量の大幅な拡大と、スムーズな地域間連系が実現し、急増する電力需要に対応することができる。
今回の契約は、米国のエネルギー会議である CERA(セラ)ウィークで発表された。また、両社は、米国の電力網を強化する将来のプロジェクトについても議論している。
再生可能エネルギーの発電地から需要地への送電には、長距離送電技術が必要。同プロジェクトは、東西電力網の分断という、米国のエネルギー転換における長年の課題を解決するもの。また、米国政府のコミットメントであるエネルギー転換の加速と、それに向けた米国エネルギー省の取り組みを支援する重要な役割を果たす。新たな HVDC 連系線により、東西電力網の連系容量が拡大することで、電力網の容量不足緩和とレジリエンス・柔軟性向上が実現する。これにより、天候の急変による影響の軽減など、地域の電力網に長期的な恩恵がもたらされる。
今回のような複数プロジェクトの包括契約は、エネルギー転換に向けたサプライチェーン確保のために、欧州の大手事業者を中心に採用されているが、米国においては比較的新しい手法。
グリッド・ユナイテッドの CEO かつ共同創設者でもあるマイケル・スケリー氏は、「最先端の HVDC 技術と世界的な実績を有する日立エナジーは、強靭で信頼性の高い電力網の実現に必要なパートナーです。日立エナジーのような企業との協力や公共事業者の連携により、電力網の近代化と強化を加速させることで、急増する電力需要に対応できます。」と述べている。
グリッドインテグレーションビジネスユニット担当役員であるニクラス・パーソン氏は、「米国の電力網をより柔軟で信頼性の高い、安心・安全なものにするために、グリッド・ユナイテッドと協力できることを誇りに思います。
当社は、エネルギー転換を加速させるために、革新的なビジネスモデルを適用し、必要なリソースの確保とプロジェクト推進の効率化を実現します。」と述べている。
日立エナジーは 1970 年以降、北米の顧客に HVDC ソリューションを提供しており、米国とカナダで稼働中または建設中の HVDC は 20 を超える。また、建設中のプロジェクトを除いて、約 10GW の再生可能エネルギーを連系している。
■関連情報
日立エナジーは、カリフォルニア州とオレゴン州を結ぶパシフィック・インタータイ1 に加え、現在建設中の、シャンプレーン・ハドソン・パワー・エクスプレス2 やサンジア・トランスミッション*3 などに携わっており、米国の電力インフラ強化に大いに貢献しています。シャンプレーン・ハドソン・パワー・エクスプレスは、カナダからニューヨーク州に水力発電の電力を送電する HVDC 連系線です。また、サンジア・トランスミッションは、ニューメキシコ州からアリゾナ州に風力発電の電力を送電する HVDC 連系線です。
*1 https://www.hitachienergy.com/about-us/customer-success-stories/pacific-intertie (英語サイト)
*2 https://www.hitachienergy.com/about-us/customer-success-stories/champlain-hudson-power-express-chpe
(英語サイト)
*3 https://www.hitachienergy.com/about-us/customer-success-stories/sunzia (英語サイト)
■日立エナジーについて
日立エナジーは、持続可能なエネルギーの未来へ向けた取り組みを加速する、グローバルな技術リーダーです。さまざまな分野のお客さまに、バリューチェーン全体にわたる革新的なソリューションとサービスを提供するとともに、お客さまやパートナーとの協創により、カーボンニュートラル実現に向けたエネルギー転換に必要な、デジタル技術を活用した変革を実現します。日立エナジーは、社会価値、環境価値、経済価値のバランスを取りながら、世界でより持続可能、より柔軟、より安心・安全なエネルギーシステムを構築する取り組みを進めています。また、当社はこれまで合計 150GW 以上の高圧直流送電(HVDC)システムを提供しており、より多くの風力発電や太陽光発電の導入が可能となるよう支援しています。スイス・チューリッヒに本社を置き、全世界 90 カ国に 40,000 人以上の従業員を擁しており、140 カ国以上の導入実績と、1 兆円を超える事業規模を有しています。詳しくは、ウェブサイト(https://www.hitachienergy.com/jp/ja)をご覧ください。
■日立製作所について
日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。お客さまの DX を支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、幅広い産業でプロダクトをデジタルでつなぎソリューションを提供する「コネクティブインダストリーズ」の事業体制のもと、IT や OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用する Lumada ソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。デジタル、グリーン、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。 2022 年度(2023 年 3 月期)の連結売上収益は 10 兆 8,811 億円、
2023 年 3 月末時点で連結子会社は 696 社、全世界で約 32 万人の従業員を擁しています。
ニュースリリース
＊リリース内容から一部「ですます調」で表記しています。