澁谷工業、独4JET社と提携、高機能ガラス向けレーザ加工システムを国内外で展開

・半導体向け需要拡大に対応、初年度数億円の売上見込む

澁谷工業は12月12日、ドイツの4JET Holding GmbH(フォージェット)と販売提携し、高機能ガラス向けレーザ微細加工システムの販売を日本国内およびアジア地域で開始したと発表した。AI向け半導体需要の高まりを背景に、先端パッケージ用ガラス基板の加工需要増加に対応する。

4JET社は構造物やタイヤ製造用金型表面のクリーニング用レーザ装置で世界トップシェアを持つ。近年は高機能ガラスの切断加工システムを開発し、フラットパネルディスプレイや太陽電池製造プロセス向けに展開している。昨年末にはCorning Laser Technologies GmbHを完全買収し、ガラス分野でのビジネスを強化した。

同社の強みは高機能ガラスの高速切断技術にある。特にナノパーフォレーション工法では、ガラス内部に数マイクロメートルの改質層を最大毎秒1000ミリメートルの速度で形成。その後の熱応力処理により、直線だけでなく曲線や自由形状の切断が可能だ。切断時の溶融粉の発生がなく、チッピングレスで切断面が滑らかという特徴を持つ。

一方、澁谷工業はボトリングのレーザマーキング技術を応用し、ガスレーザ加工システムやファイバーレーザ加工システムを製造販売してきた。電気・電子材料向けでは超短パルスレーザを応用したレーザアブレーション加工機を樹脂フィルム基板業界向けに供給している。ガラス加工分野では、半導体製造の前工程で使われる石英ガラスの穴あけ加工やパイプ切断システムに強みを持ち、国内外で多数の販売実績がある。

今回の提携により、4JET社の高機能ガラス加工技術と、澁谷工業の加工システム構築技術およびアフターサポート体制を組み合わせる。半導体業界ではAIデータセンター向け半導体の需要増加に加え、半導体素子の高密度化により、キャリアガラスやインターポーザといった最先端基板の需要が拡大している。生産性向上を目的とした新たなレーザ微細加工システムの導入が盛んに検討されており、需要増加が見込まれている。

澁谷工業は売上見込みについて、初年度は数億円からスタートし、システム展開やシリーズ拡充など多様な可能性を追求していく方針だ。変革スピードの速い業界ニーズに応えるため、急速な市場成長が予測される最先端ガラス分野市場における品質と生産性の向上に貢献していくとしている。

【用語解説】

キャリアガラス:先端パッケージや化合物半導体の製造時など半導体製造工程で使用される補助ガラス基板。

インターポーザ:複数の半導体チップと基板を電気的に接続するための中継基板。

レーザアブレーション:固体材料に超短パルスレーザ光を照射し、そのエネルギーで材料を瞬間的に除去する加工技術。

ナノパーフォレーション:ガラス内部に数マイクロメートルほどの改質層を超高速で形成する加工技術。

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