日立建機、バッテリー駆動式ショベルが稼働時の電力負荷平準化を実証

・石坂産業と共同実証―電動建機普及へ道筋

日立建機は12月15日、バッテリー駆動式油圧ショベルが稼働時の電力負荷を平準化できることを実証したと発表した。産業廃棄物中間処理の石坂産業(埼玉県三芳町)と11月10日から14日にかけて実施した共同実証試験で確認した。理論上、従来の有線式電動ショベルと比較してピーク電力を60%低減できる見通しが得られた。

実証試験は石坂産業の敷地内プラントで実施。13トンクラスのバッテリー駆動式ショベル「ZE135」を使用し、商用電源とバッテリーを併用して稼働させた結果、電力供給を一定に保つことでピーク電力の抑制が可能なことを確認した。

有線式電動ショベルは常時給電が必要なため、作業負荷に応じて電力消費が変動し、電力インフラへの負荷が集中する課題があった。今回の実証では、バッテリー併用により電力負荷の平準化が実現でき、施工現場の環境負荷や電力インフラへの負荷軽減が期待できることが明らかになった。

また、敷地内でのリサイクル資材仕分け作業において、バッテリーのみでの稼働を検証。従来ディーゼルエンジン式で行っていた移動を伴う作業が、バッテリー駆動式でもエンジン式と同等に実施可能であることを確認した。ケーブル接続による移動範囲の制約がなく、運用の柔軟性が高まることも実証された。

石坂産業の北村雄介取締役生産技術開発部長は「バッテリー駆動式の利用により、安定した電力消費や環境負荷低減などの社会的価値を確認できた。今後も効率的に電動建機を活用しながら、循環型社会の実現に向けて取り組む」とコメント。

日立建機の日比克吉新事業創生ユニット部長は「電動建機の普及は施工現場の環境負荷低減やエネルギーの有効利用に直結し、カーボンニュートラル社会の実現に不可欠。今後も充電インフラや運用ソリューションの開発を進める」と述べた。

国内ではGX建機認定制度の開始など、電動建機の導入機運が高まっている。日立建機は今回得られたデータを活用し、実践的な電動機械の運用方法の提案力を高めていく方針だ。

なお、同社は2027年4月1日付で商号を「ランドクロス」、コーポレートブランドを「LANDCROS」に変更する予定。

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