2025年12月3日:海外複数メディアより
ボブキャット・カンパニー(Bobcat Company)は、キャタピラー社(Caterpillar Inc.)に対し、複数の特許侵害訴訟を米国テキサス州東部地区連邦地方裁判所(マーシャル支部)および米国国際貿易委員会(ITC)に提起した。
今回の二方面からの法的措置は、斗山ボブキャット北米(Doosan Bobcat North America)がテキサス州で民事訴訟を起こすとともに、ワシントンDCの国際貿易委員会に申し立てを行うという形で展開されている。これらは、ボブキャットがキャタピラーに対して取った一連の法的措置の最新のものであり、これまでにも欧州統一特許裁判所への2件の申し立てや、ドイツ地方裁判所への3件の申し立てなど、いずれも特許侵害を主張する訴訟を起こしている。
■訴訟の背景
今回の提訴について、ボブキャットはキャタピラーがスキッドステアローダー市場への「後発参入者」であると主張。ボブキャットが市場を創出してから40年後まで、キャタピラーはスキッドステアローダーの製造を開始しなかったと指摘している。
テキサス州への訴状で、斗山ボブキャット北米は、キャタピラーが「ボブキャットの革新技術を利用してスキッドステアおよびより広範なコンパクト機器市場で不当に競争しようとしている」と主張した。ボブキャットは今回の訴訟および以前の訴訟において、これがキャタピラーの「パターン」であると主張し、同社が競合製品を綿密に監視しており、「新製品導入プロセスの一環として分解調査を行っている」と述べている。
■具体的な侵害疑惑
ボブキャットがキャタピラーに対して行った告発の中には、この米国建設機械大手が競合製品のセンサー信号を特定するための試験を実施し、「分解調査のすべての部品を写真撮影」し、さらには「競合機械の個別部品のCAD図面を作成している」というものも含まれている。
テキサス州への訴状でボブキャットは、キャタピラーがこうした行為により競合製品の先進技術を特定し、「それらを模倣する可能性を探っている」と主張している。
■訴訟対象製品と求める救済措置
国際貿易委員会への申し立てにおいて、ボブキャットは対象製品として、特定のスキッドステアローダー、コンパクトトラックローダー、油圧ショベル、ホイールローダー、ブルドーザーおよびその部品を挙げている。
訴訟でボブキャットは14件の特許を対象としており、これらは機動性、パワー、性能、効率性を可能にする技術に関するものだ。同社は声明で「これらの特許は当社の機械の強度、汎用性、精度、そしてボブキャットの革新の未来にとって基礎となるものであり、製品ラインナップ全体の進歩を推進し、各機械がボブキャットブランドを冠するに値するものにしている」と述べている。
テキサス州への訴状では、ボブキャットが特許侵害を立証できた場合の損害賠償および継続的なロイヤルティの支払いを求めている。
国際貿易委員会に対しては、1件以上の特許を侵害していると判断されたスキッドステアローダー、コンパクトトラックローダー、油圧ショベル、ホイールローダー、ブルドーザー、または部品の米国への輸入を禁止する限定的排除命令を要請している。
さらに、恒久的な差止命令および60日間の大統領審査期間中の侵害製品輸入に対する保証金の課徴も求めている。この審査期間は、1930年関税法(Tariff Act of 1930)第337条に基づく国際貿易委員会の「最終決定」後に設けられる期間で、米国大統領が国際貿易委員会の排除命令または差止命令を審査し、潜在的に拒否権を発動できる。
■両社のコメント
ボブキャット・カンパニーは今回の法的措置について次のように述べている。「ボブキャット・カンパニーは、当社の特許技術を保護し、公正な競争を守り、そして65年以上にわたって当社を定義してきた革新性と職人技を守るために、これらの法的措置を取っています」
一方、キャタピラーの広報担当者は「係争中の訴訟についてはコメントしません」と述べるにとどめている。
■業界における特許紛争
建機メーカー間の特許紛争は比較的一般的な現象となっている。2024年には、ディア・アンド・カンパニー(Deere & Co)の子会社であるヴィルトゲン(Wirtgen)が、道路建設技術の特許権をめぐる法的紛争でキャタピラーから約1,290万米ドルの損害賠償を勝ち取った。米国デラウェア州の連邦陪審は、キャタピラーの路面切削機がヴィルトゲンの6件の特許のうち5件を侵害したと判断している。