日本精工 (NSK)、AIロボティクスのアールティ社に戦略出資

・ヒューマノイド・四足歩行ロボットの社会実装へ本格タッグ

日本精工(NSK)は10月30日、AIロボティクス分野の先進企業であるアールティ(RT社、東京都千代田区)と業務提携契約を締結し、第三者割当増資を通じて同社株式の3分の1超を取得したと発表した。これによりNSKはRT社の主要株主となり、戦略的パートナーシップのもと、次世代ロボット技術の社会実装に向けた取り組みを加速させる。

■フィジカルAI×トライボロジーで次世代ロボットを共創

RT社は、ヒューマノイドや四足歩行ロボットを中心に、人と協調して作業するロボットの開発・実装を推進してきた。特に、現実世界を理解し動作する「フィジカルAI」や、エンボディードAIとハードウェアの融合技術に強みを持ち、ROS(Robot Operating System)などの先端ソフトウェア基盤にも精通。研究開発から社会実装、教育までを一貫して手がける体制を構築している。

一方、NSKはベアリングや直動製品、トライボロジー、解析技術など、長年にわたり蓄積してきた機械要素技術を保有。今回の提携により、両社の技術融合による高付加価値ロボット製品・サービスの創出が期待される。

■提携の主な取り組み

業務提携の具体的な協業内容は以下の通り:

  • 国産四足歩行ロボットの実用化に向けた共同開発
  • 製造業向けヒューマノイドロボットの社会実装に向けた協業
  • AI/ハードウェア/ソフトウェア各要素技術の共同研究
  • 技術・営業人材の相互交流による提案力強化と市場開拓

NSKは今回の出資・提携を機に、ロボット事業への本格参入を表明。製造業・サービス業が直面する人手不足といった社会課題に対し、「人と共存するロボット社会」の実現を掲げ、AI・ロボティクス技術による解決を目指す。

■業界の枠を超えた共創モデルに期待

今回の提携は、機械要素技術とAIロボティクスの融合による新たな価値創出のモデルケースとして、業界内外から注目を集めそうだ。NSKの「MOTION & CONTROL™」の理念と、RT社の「Life with Robot®」のビジョンが交差することで、ロボット技術の社会実装が一段と現実味を帯びてきた。

今後、両社の協業がもたらす技術革新と市場展開の進展に注目が集まる。

ニュースリリース