・酸性ガス除去ユニットの運転最適化により、エネルギー・薬品使用量を削減
横河電機は10月29日、サウジアラムコのファディリ・ガスプラントにおいて、相互に連携する複数の自律制御AIを導入し、酸性ガス除去(AGR)ユニットの運転最適化に成功したと発表した。これにより、エネルギーおよび化学薬品の使用量を大幅に削減し、プラント運用の効率化を実現した。
本システムでは、横河電機が開発した強化学習AIアルゴリズム「FKDPP(Factorial Kernel Dynamic Policy Programming)」を活用し、複数のAIエージェントが相互に連携してリアルタイムにプロセスを最適制御する。導入にあたっては、酸性ガス除去ユニットを3セクションに分け、段階的にAIを適用・学習させた。安全性確保のため、まずプラントシミュレータ上で制御モデルを検証し、その後、同社の統合生産制御システム「CENTUM™ VP(センタム・ブイピー)」と連携して実機導入を行った。
評価期間中の結果では、アミンおよび蒸気使用量が10~15%、電力使用量が約5%削減され、外乱のある環境下でもプロセス安定性の向上とオペレーター介入の大幅削減を確認したという。
サウジアラムコのエンジニアリング・サービス担当シニア・バイス・プレジデント、カリド・Y・アル・カタニ氏(Khalid Y. Al-Khathani)は「アラムコは事業全体で産業用AIの導入を進めており、横河電機との協業は効率化と持続可能性を両立させる重要な取り組みだ」と述べた。
横河電機の代表執行役社長・重野邦正氏は「アラムコの主要施設に当社の自律制御AIを導入できたことは光栄であり、期待を超える成果が得られている。当社は“自動化から自律化へ(IA2IA)”の理念のもと、安全で効率的なプラント運用の実現を目指す」と語っている。
同社の自律制御AI「FKDPP」は奈良先端科学技術大学院大学との共同開発によるもので、2023年には日刊工業新聞社主催「第52回 日本産業技術大賞」の最高位である内閣総理大臣賞を受賞している。
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