・2025年第3四半期は有機的成長を継続、EBITA利益率は過去最高水準に
バルメット(Valmet):2025年10月29日
フィンランドの産業機械大手バルメット社(Valmet、本社:エスポー)は10月29日、2025年1〜9月期の業績を発表した。厳しい市場環境が続く中、同社は受注の有機的成長と収益性の改善を実現し、第3四半期(79月期)には過去最高の業績を記録した。
■第3四半期は有機ベースで7%増収
2025年第3四半期(7〜9月)の受注高は10億8,300万ユーロ(前年同期比10億4,100万ユーロ)とほぼ横ばいだったが、有機ベースでは7%の増加となった。売上高は12億9,500万ユーロで前年同期と同水準を維持した。
収益面では、比較可能EBITA(Comparable EBITA、利払い・税引き・償却前利益)が1億5,900万ユーロ(前年同期1億5,600万ユーロ)、EBITA利益率は12.3%(同12.0%)と、第3四半期としては過去最高の水準を達成した。1株当たり利益(EPS)は0.46ユーロ(同0.37ユーロ)に増加し、営業活動によるキャッシュフロー(Cash flow)は9,400万ユーロ(同1億1,000万ユーロ)となった。
■1〜9月期累計でも利益率が改善
2025年1〜9月期累計では、受注高が39億3,600万ユーロと前年同期比17%増加し、有機ベースでは18%の伸びを記録した。売上高は37億2,000万ユーロ(前年同期38億3,100万ユーロ)とやや減少したものの、比較可能EBITAは4億2,300万ユーロ(同4億1,700万ユーロ)とほぼ横ばいを維持。EBITA利益率は11.4%(同10.9%)と改善した。
営業活動によるキャッシュフローは3億9,100万ユーロ(同3億7,600万ユーロ)と増加し、財務基盤の健全性を示した。
■新戦略「Lead the Way」が早期に成果
トーマス・ヒナースコフ(Thomas Hinnerskov)社長兼CEO(最高経営責任者)は、「プロセス・パフォーマンス・ソリューション(Process Performance Solutions)部門が11%の有機的成長を牽引し、4四半期連続の成長を実現した。米国で大型ティッシュ(Tissue)設備を受注し、新たなベンチマークを打ち立てた」と述べた。
同CEOは、今年初めに発表した新戦略「リード・ザ・ウェイ(Lead the Way)」の成果として、組織モデルの刷新により第3四半期だけで約1,500万ユーロのコスト削減を達成したと強調。当初の予想を上回るペースで、2026年初めまでに年間8,000万ユーロの削減目標達成に向け順調に進んでいるという。
受注残高は四半期末時点で45億ユーロに達し、2024年末から増加。2025年第4四半期および2026年の事業見通しに良好な可視性を提供している。
■2025年通期見通しは据え置き
同社は2月に発表した通期見通しを維持し、2025年の売上高と比較可能EBITAは2024年実績(売上高53億5,900万ユーロ、EBITA6億900万ユーロ)並みになると予想している。
短期的な市場見通しについては、プロセス・パフォーマンス・ソリューション市場は安定した環境が続く一方、バイオマテリアル(Biomaterial)関連市場では世界経済の不透明感が顧客の意思決定に影響を及ぼしており、今後数四半期でサービス市場がさらに軟化するリスクがあるとしている。
■新報告体制に移行
同社は新戦略と組織モデルに合わせ、2025年7月1日から新しい財務報告体制に移行。従来の4事業から、「プロセス・パフォーマンス・ソリューション(Process Performance Solutions)」と「バイオマテリアル・ソリューション&サービス(Biomaterial Solutions and Services)」の2セグメント制に再編した。
バルメットは225年以上の産業機械製造の歴史を持ち、世界約40カ国に1万9,000人超の従業員を擁するプロセス産業向け技術リーダー。ナスダック・ヘルシンキ(Nasdaq Helsinki)に上場している。
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