コマツが10月29日発表した2026年3月期第2四半期(2025年度上期、25年4~9月)の連結決算は、売上高が前年同期比3.9%減の1兆8,916億円、営業利益が同8.7%減の2,771億円となった。税引前中間純利益は同7.3%減の2,584億円、当社株主に帰属する中間純利益は同12.9%減の1,757億円だった。1株当たり当社株主に帰属する中間純利益(EPS)は191円80銭(前年同期215円93銭)となった。
■業績動向と要因
売上高営業利益率は前年同期を0.8ポイント下回る14.6%となった。建設機械・車両部門では、販売価格の改善に努めたものの、前年同期に比べて円高となった影響や販売量の減少により減収減益となった。一方、産業機械他部門では、自動車産業向けの大型プレスの販売増加と半導体産業向けエキシマレーザー関連事業でのメンテナンス売上げ増加により増収増益となった。
■セグメント別業績
【事業別】
建設機械・車両部門: 売上高1兆7,422億円(前年同期比4.8%減)、セグメント利益2,420億円(同13.0%減)。ICT建機化率は27.0%に達し、無人ダンプトラック運行システム(AHS)の累計導入台数は9月末時点で940台となった。
リテールファイナンス部門: 売上高610億円(同1.3%減)、セグメント利益169億円(同13.9%増)。円高の影響で減収となったが、資金調達コストの低下により増益となった。
産業機械他部門: 売上高1,069億円(同10.5%増)、セグメント利益166億円(同112.1%増)。自動車産業向け大型プレスの販売増加などが寄与した。
【地域別(建設機械・車両部門の外部顧客向け売上高)】
• 北米: 4,595億円(前年同期比7.6%減)。鉱山機械の販売減少と円高の影響
• 中南米: 3,396億円(同0.5%増)。チリで鉱山機械の販売が増加
• 欧州: 1,603億円(同6.2%増)。利下げを背景とした需要回復
• アフリカ: 1,161億円(同7.0%増)。鉱山機械の販売が好調
• 中近東: 631億円(同20.7%増)。UAEの大型インフラプロジェクト関連需要が堅調
• オセアニア: 2,210億円(同6.0%減)。鉱山機械は増加も円高の影響
• アジア(日本・中国除く): 1,715億円(同21.2%減)。インドネシアで需要減少
• 中国: 370億円(同11.4%減)。不動産市況の低迷が継続
• CIS: 275億円(同12.7%減)。中央アジアで鉱山機械が減少
• 日本: 1,416億円(同6.5%減)。一般ユーザー・レンタル向け需要が低迷
■米国追加関税影響額に関する見通し:関税コストは約900億円の見込み
コマツの試算によると、25年度の関税コストは支払いベースで約900億円に達する見通しだ。10月24日時点で内容が明らかになっている米国の関税政策と現実に基づき、25年度の関税リストの最新見通しを算出した。当期に実現した関税負担は約500億円となり、4月公表時から135億円改善した。また、期中に実現した期間費用は約900億円で、4月公表時の約2,500億円から大幅に減少している。期中に実現する粗益影響額についても、4月公表時の約5,135億円から約135億円へと改善が進んでいる。
コスト軽減策により影響を抑制:コマツはコスト軽減策を引き続き推進しており、対中国への追加関税政策の影響緩和に取り組んでいる。年度末に向けては約300億円の増加要因があるものの、各種施策により合計で約50億円の改善を見込んでいる。コマツは今後も、生産拠点の最適化や調達先の多様化などを通じて、関税負担の軽減に努める方針。
■通期業績予想
同社は2026年3月期の通期連結業績予想を上方修正した。売上高は3兆8,880億円(前回予想比3.8%増、前期比5.3%減)、営業利益は5,000億円(同4.6%増、同23.9%減)、税引前当期純利益は4,640億円(同5.0%増、同23.3%減)、当社株主に帰属する当期純利益は3,200億円(同3.6%増、同27.2%減)を見込む。1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は351円84銭を予想している。
修正の理由として、為替が想定より円安に推移していることに加え、米国関税による影響額および最新の市場見通しを反映したとしている。通期平均の想定為替レートは1米ドル=143.2円、1ユーロ=164.9円、1豪ドル=92.7円(前回予想はそれぞれ135.0円、150.0円、84.0円)。
なお、第2四半期末の配当金は1株当たり95円を予定しており、期末配当も95円を見込むことから、年間配当金は190円となる見通し。
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