・2027年度に共同開発品を発売、部品生産・販路開拓でも協業へ
島津製作所は10月28日、住友精密工業(兵庫県尼崎市)と油圧機器の開発・製造・販売分野で業務提携を結んだと発表した。両社は製品ラインアップや主要顧客、販売地域の重複が少ないことから、相互補完によるシナジー効果を見込んでおり、共同開発や生産協力、販売連携を通じて油圧機器事業の競争力強化を図る。
両社は今後、「油圧機器部品の生産協力」「製品の相互供給(クロスセル)」「中国・インドなどにおける販路開拓」「共同開発による新製品の2027年度発売」を柱に多面的な協業を進める。共同開発の対象には、島津製作所の静音設計ギヤポンプ「Serenade」シリーズをベースにした、工作機械・射出成型機向けの次世代モデルも含まれている。
ギヤポンプは、油圧システムの圧力を発生させる要となる機器で、内部のギヤが作動油を送り出し圧力を発生させる仕組みを持つ。安定した昇圧性能と構造の簡潔さから、建設機械や産業機械をはじめとする幅広い分野で用いられている。島津製作所は2021年より、フォークリフト電動化対応の「Serenade」シリーズを展開し、欧州大手メーカーなどに納入している。
住友精密工業は1961年設立。航空機脚システムや熱制御システムの大手メーカーで、航空機用油圧技術を応用した射出成型機、ダイキャスト機、鍛圧機械、工作機械向け内接ギヤポンプを製造。主力の「QS」「QT」シリーズは、中国の射出成型機最大手・寧波海天集団(ハイテン)にも採用されている。
一方、島津製作所の油圧機器事業は、1926年の紡績工場向け送液ギヤポンプに始まり、1961年から本格的に油圧ポンプ・モータ・バルブを展開。現在はフルイディクス事業部が、フォークリフトや建設機械、農業機械、特装車両などに向けて製品を供給している。
今回の提携により、両社は得意とする分野の技術を融合させ、産業機械からモビリティ分野に至るまで、幅広い用途で高効率かつ静音性に優れた油圧機器の開発を加速させる考えだ。
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