TSMC熊本第2工場が本格着工

・半導体集積地へ前進も、需要に不透明感

台湾の半導体大手TSMCの日本法人JASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing)は2025年10月24日、熊本県菊陽町との間で第2工場の立地協定を締結し、同工場の本格的な建設に着手した。九州を「新生シリコンアイランド」として再興する象徴的なプロジェクトとして期待される一方、第1工場の稼働状況や市場の先行きには不透明感も漂う。

■立地協定締結、交通渋滞対策にも言及

県庁で行われた締結式には、JASMの堀田祐一社長、菊陽町の吉本孝寿町長、熊本県の木村敬知事が出席。堀田社長は「熊本県が半導体産業の集積地としてさらなる発展を遂げるため、JASMもその一翼を担うべく全力を尽くす」と述べ、地域との連携強化とともに、工場周辺の交通渋滞対策にも取り組む姿勢を示した。

TSMCは当初、第2工場の着工を2025年3月までに予定していたが、交通事情などを理由に延期。その後、10月中旬に建設開始を正式に表明し、今回の協定締結に至った。

■第2工場の概要と期待

第2工場は第1工場の東隣に増設され、回路線幅6ナノメートルの先端半導体を製造予定。自動運転や人工知能(AI)など次世代技術への活用が期待されている。建築面積は約6万9,000平方メートル、投資額は約139億ドル(約2兆1,250億円)にのぼり、経済産業省は最大約7,300億円の支援を予定している。

稼働開始は2027年12月を予定しており、従業員は約1,700人、第1工場と合わせると約3,400人規模となる見込みだ。

■第1工場の現状と市場の不透明感

2024年末に量産を開始した第1工場は、当初の期待に対し需要が伸び悩み、稼働率も高くないとの見方がある。第2工場の本格的な量産開始についても、JASMは「ニーズや市場の状況による」としており、巨大投資に対する慎重な姿勢がうかがえる。

■九州の半導体産業集積への布石

今回の第2工場着工は、九州地域における半導体産業のさらなる集積を促す重要なステップと位置づけられている。TSMCの進出は、関連企業の誘致や雇用創出にもつながると期待されており、「新生シリコンアイランド」構想の実現に向けた動きが加速している。

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