エピロック(Epiroc):2025年10月24日
エピロック(Epiroc)は、西オーストラリア州ピルバラ地域のハンコック・アイアン・オア(Hancock Iron Ore)が運営するロイヒル(Roy Hill)鉱山において、78台の鉱山用ダンプトラックの自律運転化を完了し、世界最大のOEM非依存(アグノスティック)型自律運転鉱山の実現に向けた重要な節目を迎えた。
スウェーデン・ストックホルム発、鉱山・インフラ産業向けの主要サプライヤーであるエピロック(Epiroc AB)は、ハンコック・アイアン・オア(Hancock Iron Ore、以下HIO)と協力し、同社のロイヒル鉱山における78台の運搬トラックを手動運転から完全自律運転に転換した。エピロックの自律運転システム「リンクOA(LinkOA)」を採用したこのプロジェクトは、メーカーを問わずシステム連携が可能な世界最大の自律運転鉱山を実現する取り組みの一環である。
現在、78台のうち60台が自律運転で稼働しており、残る車両の導入と補助車両の通信機能整備を進めている。最終的には、キャタピラー(Caterpillar)製「793F」54台と日立建機製「EH5000」24台の混成自律運搬車隊が構成される予定だ。
エピロックの社長兼CEOであるヘレナ・ヘドブロム(Helena Hedblom)氏は、「ハンコック・アイアン・オアは鉱山自動化の最前線を走っており、その成功に貢献できることを誇りに思う。今回の成果は、自律化鉱山のグローバルな進展における大きな一歩だ」と述べている。
ハンコック・アイアン・オアは、ハンコック社傘下のアトラス・アイアン(Atlas Iron)とロイヒルが2025年に統合して設立された新会社で、世界有数の鉄鉱石生産企業の一つである。CEOのガーハード・フェルツマン(Gerhard Veldsman)氏は「ロイヒル鉱山における自律運搬プロジェクトのパートナーとしてエピロックを選定したのは、我々の経営陣が掲げた自動化へのビジョンに基づくものであり、異なるメーカー間での相互運用性を実現したことが生産性と安全性の両面で大きな成果をもたらした」と語った。
ロイヒル鉱山では、エピロックの「リンクOA(LinkOA)」交通管理・車載自動化システムを用い、鉱山の仮想マップに基づいて自律運転車両が走行。補助車両や約1,100km離れたパース(Perth)の遠隔運用センター(ROC)と通信しながら稼働している。これまでに自律走行車両は2億5,000万トン以上の資材を運搬し、累計走行距離は約600万kmに達した。これは地球150周分に相当し、露天採掘における自律運転の新たな基準を打ち立てた形だ。
残る車両と補助機器をすべて自律化ネットワークに組み込む最終段階は2025年12月に完了予定で、完了後は世界最大規模のOEM非依存型自律運搬システムが完全稼働することになる。
このプロジェクト成功の鍵を握るのは高信頼の通信インフラであり、AHS(自律運搬システム)運用に備え、今年エピロックが完全子会社化したラドリンク(Radlink)の支援のもとで構築された。
2025年8月には、エピロックが本プロジェクトにおける技術革新の貢献を評価され、ハンコック・アイアン・オアから「2025年イノベーション賞」を受賞した。同社の技術力と安全性、スケールの大きさが高く評価されたもの。
エピロックは2025年第3四半期に本プロジェクト関連で約3億SEKの収益を計上しており、今後も継続的な年間収益を見込む。また同社は、異なるメーカーの車両を統合できる自律運搬ソリューションとして、他の鉱山事業者への展開を進めていく構えだ。
エピロック(Epiroc)は、鉱山およびインフラ分野の生産性向上を支援するグローバル企業であり、持続可能な社会への変革を加速させるテクノロジーパートナーとして活動している。2024年の売上高は約640億SEK、従業員数は約1万9,000人。世界約150カ国で顧客と協働している。
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