産業用ロボット受注、5四半期連続増加、7〜9月期25.9%増、輸出がけん引

日本ロボット工業会が10月23日発表した2025年7〜9月期の産業用ロボット統計(会員ベース)によると、受注額は前年同期比25.9%増の2,219億円となり、5四半期連続で増加した。受注台数も20.0%増の4万9,213台と好調を維持している。

 電子部品実装機の強い伸びが全体を押し上げたほか、マニピュレーティングロボットでも垂直多関節ロボットが堅調に推移した。生産面でも台数が14.8%増の4万7,525台、生産額が20.7%増の2,073億円となった。

■輸出好調、アジア向けが大幅増
 
出荷状況を見ると、国内向けは依然として勢いがなく主要業種で減少したものの、輸出が大幅に伸びた。輸出台数は23.9%増の4万98台、輸出額は33.8%増の1,750億円となり、いずれも3四半期連続の増加となった。

地域別では、電子部品実装用ロボットが旺盛な需要を背景に中国やベトナムを中心にアジア地域で大きく増加した。同地域向けでは半導体用も好調さが継続した一方で、溶接用は急激な減速となった。北米向けはマテリアルハンドリング用を中心に力強い回復が継続。欧州向けは国や用途で強弱があるものの、トータルとしては9四半期ぶりの増加となった。

■国内需要は低迷が継続
 
国内出荷は台数が29.1%減の7,744台、出荷額が16.7%減の418億円となった。台数は3四半期連続、出荷額は2四半期連続の減少となった。業種別では電気機械製造業向けが台数で25.8%減の2,509台、自動車製造業向けが38.6%減の2,194台と大幅な落ち込みを見せた。

用途別の輸出では、電子部品実装用が台数で26.5%増の4,214台、額で38.3%増の729億円と6四半期連続の増加。一方、溶接用は台数で5.7%減の7,337台、額で7.2%減の181億円と3四半期ぶりの減少に転じた。

■先行き不透明感は継続

同工業会では「世界的な自動化需要により今後のロボット市場の継続した回復、成長が期待される一方で、地政学的リスクや関税政策等を背景に需要環境は依然として不安定のままで、先行きの不透明感は当面続くとみられる」と分析している。
 国内製造業の設備投資意欲の回復が引き続き課題となりそうだ。

ロボット統計25年7〜9月