安川電機とアステラス製薬は10月22日、ヒト型ロボット「まほろ」を活用し、再生医療等製品の製造プラットフォーム開発と提供を行う合弁会社「セラファ・バイオサイエンス株式会社(Cellafa Bioscience Inc.)」を設立したと発表した。
製薬分野では細胞医療の実用化が進む一方で、細胞製造は複雑な手作業工程に依存しており、再現性や品質の安定化が課題となっている。また、製造技術の移管に伴う時間やコストの負担も大きく、商業化の障壁とされてきた。
セラファは、アステラス製薬が持つ細胞医療の研究開発およびGMP(医薬品製造管理基準)に関する知見と、安川電機の精密ロボティクス・AI技術を融合。安川電機の子会社ロボティック・バイオロジー・インスティテュートが開発した汎用ヒト型ロボット「まほろ」を活用し、高精度かつ再現性の高い細胞培養プラットフォームを構築する。
同社は、AIによる工程最適化を進め、製造プロセスのデジタル化と自動化を実現。これにより、従来の手作業依存によるばらつきや高コストの課題を解消し、研究成果を効率的に患者へ届ける体制を目指す。さらに、確立した製造プロセスを「ワンクリック転送」で他拠点に共有できる仕組みも導入し、GMP条件を満たす標準化生産を可能にする。
新会社はスタートアップ企業やアカデミアを主な顧客とし、再生医療等製品の製造プロセス開発から治験薬製造までを支援。将来的には、同プラットフォームを通じて再生医療の社会実装を加速させる狙いだ。
<合弁会社の概要>
• 社名:セラファ・バイオサイエンス株式会社(Cellafa Bioscience Inc.)
• 設立:2025年9月29日
• 資本金:45億円(資本準備金含む)
• 出資比率:アステラス製薬60%、安川電機40%
• 決算月:3月
• 代表取締役社長:山口秀人(アステラス製薬)
• 取締役:蒲原正純(アステラス製薬)、清水圭(安川電機)ほか
• 事業内容:
1. 「まほろ」を活用した高精度・再現性の高い製造工程の開発とAI最適化
2. デジタル化製造工程のワンクリック転送によるGMP準拠製造プラットフォームの構築
3. アカデミア・スタートアップ向けの細胞治療薬候補の製造支援
<用語補足>
GMP(Good Manufacturing Practice):医薬品の安全性と品質を確保する製造基準。
ワンクリック転送:確立された製造工程を実践的訓練なしで他施設に迅速移行する仕組み。