・デジタルソリューション事業が2桁成長、鉱山機械需要が牽引
サンドビック(Sandvik):2025年10月20日
2025年10月 ── スウェーデンの工作機械・鉱山機械大手サンドビック社は、第3四半期の業績を発表した。オーガニックベースの受注額が前年同期比16%増と力強い伸びを示し、特に鉱山機械部門とデジタルソリューション事業が好調だった。
■主要財務指標第3四半期の総受注額は307億6,900万スウェーデンクローナ(SEK、約4,923億円)で、前年同期比7%増加した。為替変動の影響を除いた固定為替レートベースでは16%増、オーガニックベースでも16%の伸びとなった。
一方、売上高は292億1,800万SEK(約4,675億円)で、前年同期比4%減少したものの、固定為替レートベースおよびオーガニックベースでは5%増加した。
調整後EBITAは55億3,900万SEK(約886億円)で前年同期比6%減少し、利益率は19.0%(前年同期19.4%)となった。当期利益は35億3,800万SEK(約566億円)に達し、希薄化後の1株当たり利益は2.82SEK(前年同期2.58SEK)となった。
営業フリーキャッシュフローは56億300万SEK(約896億円)で、キャッシュコンバージョン率は105%を記録した。
■鉱山機械部門が24%成長
特筆すべきは鉱山機械部門の好調ぶりだ。オーガニックベースの受注額は24%増加し、主要機器部門すべてが成長に寄与した。部品・サービス部門は2桁成長で過去最高を更新した。16億SEKの大型受注を除いても、同部門の受注は16%増加している。
同社のデジタルマイニングテクノロジー事業も力強い成長を見せた。第3四半期中には新しい「Automine®」地表アプリケーションを発表したほか、大手顧客に対してAutomine®とNewtrax社の衝突回避システムを納入し、インテリジェント機器群の拡大を進めた。同部門の売上高はオーガニックベースで6%増加した。
ロックプロセッシング部門は、鉱山セグメントの勢いに牽引され、オーガニックベースの受注額が9%増加した。インフラ分野も好調で、特に北米で需要改善の兆しが見られた。解体・リサイクルセグメントの活発化により、プレミアムソリューションの受注が増加し、今年7月に完了したOSA Demolition社の買収も貢献した。
■切削工具は高一桁成長
機械加工・インテリジェント製造部門のオーガニック受注額は8%増、売上高は4%増となった。産業サイクルは依然として穏やかな状態が続いているものの、切削工具の基調需要は安定している。自動車セグメントの需要減速は、一般エンジニアリングの好調と航空宇宙および戦略的に重要な小規模セグメントでの継続的な強い需要によって相殺された。
切削工具の受注は、低い比較基準に対して高一桁成長を記録。価格および関税上乗せ分がプラスに寄与し、数量もわずかに増加した。粉末ソリューションの需要は、世界的な供給不足とタングステンのスポット価格高騰を背景に好調だった。
インテリジェント製造事業も勢いを保ち、オーガニックベースの受注額は2桁成長となった。
■CEO「戦略的進捗に満足」
ステファン・ウィディング(Stefan Widing)社長兼CEOは、「第3四半期の業績に非常に満足している。鉱山機械とソフトウェアソリューションの需要は力強く、機械加工事業も高一桁成長を報告した」とコメント。
米国の関税を完全に緩和したものの、大幅な為替逆風の影響を受けながらも、19.0%の営業利益率を達成したことを強調した。さらに「鉱山と製造の両分野におけるデジタルソリューション事業が第3四半期に2桁成長を遂げたことに特に興奮している」と述べ、デジタルプラットフォームの活用が進んでいることを評価した。
ウィディング氏は「成長の勢い、堅調な利益率、強力なキャッシュフロー創出が第3四半期の財務を要約している。財務結果に加えて、戦略的優先事項もしっかりと実行できた」と総括し、地政学的に不確実な環境下でもサンドビックの分散型組織が機敏に対応できていることを強調した。
※1SEK=約16円で換算
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