コネクレーンズ、燃料電池ストラドルキャリアを発表―TOCアメリカで水素駆動機を初披露

コネクレーンズ(Konecranes):2025年10月21日

コネクレーンズ(本社:フィンランド)は10月21日、パナマ市で開催された港湾関連展示会「TOC Americas 2025」において、水素燃料電池を搭載した「コネクレーンズ・ノエル水素燃料電池ストラドルキャリア(Konecranes Noell Hydrogen Fuel Cell Straddle Carrier)」を初公開した。同社としてアメリカ市場および世界市場への本格展開を開始するもので、EハイブリッドRTG(ゴムタイヤ式ガントリークレーン)および電動空コンテナハンドラと並び、低~ゼロエミッション機のラインアップを拡充する。

新型ストラドルキャリアは現在、ドイツ・ハンブルク港のハンブルガー・ハーフェン・ウント・ロジスティク社(HHLA)の水素実証フィールドで試験運用が進められており、初期のテストではディーゼルおよびハイブリッド仕様機と同等の高い性能を確認している。

コネクレーンズ港湾ソリューション部門マーケティング&カスタマーエクスペリエンスディレクターのトーマス・ギリング氏は「これまで燃料電池は軽量機材に用いられることが多かったが、今回のノエル水素燃料電池ストラドルキャリアは、重量物ハンドリング機器の分野で重要な前進を示すものだ」と述べた。さらに「本製品は『エコリフティング(Ecolifting)』プログラムの一環であり、電動および水素駆動により排気ゼロを実現しつつ、性能面の妥協を排することを目指している。当社は2026年までに港湾機器全製品の電動化を完了する計画であり、その目標に向け順調に進んでいる」と強調した。

■EハイブリッドRTGと電動空コンテナハンドラも展示

同展示会では、実績あるバッテリー技術とケーブルリール/母線電源を組み合わせたEハイブリッドRTGも出展。バッテリーを主電源とし、必要に応じて電源システムから充電する構成で、停電が頻発する港湾でもディーゼルRTGの代替機として有効だという。ケーブルリールや母線方式の純電動RTGに比べ、インフラ投資を抑えられる点も特長となっている。

また、電動空コンテナハンドラもアメリカ大陸市場で販売を開始。高電圧技術による高効率バッテリーを搭載し、最大12時間の連続稼働が可能。2024年10月に先行発売された地域ではすでに納入が進んでおり、顧客から高い評価を得ている。

■脱炭素化とデジタル化で持続可能な物流を推進

コネクレーンズは、デジタル化・技術開発への投資を通じて、資材・貨物の流れを効率化し、脱炭素化と循環型社会の実現に貢献するソリューションを展開している。顧客志向と継続的な改善への取り組みを基盤に、マテリアルハンドリング業界でリーダー的地位を確立している。

同社は世界50カ国以上で約1万6,500人を擁し、2024年のグループ売上高は42億ユーロ。株式はナスダック・ヘルシンキ(銘柄コード:KCR)に上場している。

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