三一重工、低炭素戦略を加速、新質生産力で産業チェーン主導へ

三一(SANY):2025年10月15日

中国の建設機械大手・三一重工(SANY Heavy Industry)は、新エネルギーとデジタル化を軸にした低炭素転換を本格化している。電動化や数智化(デジタル・インテリジェント化)の取り組みを一層推進し、新質生産力を基盤とする産業構造の高度化・グリーン化を加速している。

中国機械工業連合会によると、2024年の電動建設機械市場は前年比240%の成長を記録し、装載機(ホイールローダー)の電動化浸透率が10%を超えた。電動ミキサートラックは50%、高所作業機は90%を超えるなど、電動化が急進している。

■電動化ラインナップを拡充

三一重工は2022年、世界初の300トンクラス全電制御油圧ショベルや量産型低炭素スマートポンプ車を発表し、大型建機電動化の「ゼロ突破」を果たした。その後、フル電制御ドリル、燃料電池式ミキサートラックなどを開発し、クリーンエネルギー技術の適用範囲を拡大した。

2024年には電動・水素併用の多様な技術路線を融合させ、累計40機種以上の新エネ建機を市場投入。油圧ショベル、ホイールローダー、クレーンなどを含む広範な製品群で、世界でも有数の電動化ポートフォリオを形成した。

独自開発の統合型電子クランクシャフト技術により動力伝達効率を大幅に向上させ、電動ミキサートラックの市場シェアは6年連続で国内首位を維持。電動ダンプトラックもディーゼル車比で約30%の運行コスト削減を実現している。2024年の新エネルギー関連売上高は40億元を突破し、電動化製品の販売台数では全国トップとなった。

■緑の供給網へ、全産業段階で脱炭素化

同社の低炭素経営は製品にとどまらない。サプライヤーを対象としたESG評価制度を導入し、エネルギー効率と炭素排出を重要指標として管理、産業チェーン全体のグリーン化を推進している。

生産段階では2024年に塗装工程を刷新し、乾式ミスト除去システムを採用。水資源の使用量とエネルギー消費を大幅に削減した。研究・製造・エネルギー運用を貫く全工程の減炭体制を整え、顧客の運用コスト低減と欧州市場等での炭素規制への対応を支援している。

新質生産力で描く持続可能な未来
今後は純電動・ハイブリッド・水素燃料など複数の技術ルートを強化し、主要構成部品の独自技術開発を深化させる。クリーン技術とスマート製造への投資を拡大し、ゼロエミッション製品体系と連携型サプライチェーン低炭素化を進める方針である。

三一重工の低炭素変革は、工業の新質生産力によって高効率・高付加価値の持続的成長を実現する試みであり、世界的なグリーントランスフォーメーションの中で「中国発の実践モデル」として注目されている。

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