技研製作所、シンガポールでジャイロプレス工法の採用拡大

・硬質地盤・都市密集地での優位性を実証、アジア展開が加速

2025年10月16日

技研製作所(高知市)が開発した鋼管杭回転切削圧入工法「ジャイロプレス工法™」が、シンガポール国内で相次いで採用されている。同社の総合支援サービス「GTOSS™ ASIA」会員である現地企業グアン・チュアン・エンジニアリング・コンストラクション社が施工を担当し、技研グループの技研施工(高知市、西川昭寛社長)がコンサルティング支援を提供。現地連携体制のもと、アジア市場での事業展開が本格化してきた。

■都市密集地の制約条件を克服

今回採用されたのは、シンガポール市内ペック・シー・ストリート24番地でのホテル建設に伴う土留め工事。同工事では、鋼管杭回転切削圧入機「ジャイロパイラー™ GRV1230」を使用し、直径1000mm、長さ9.5~12mの鋼管杭138本を圧入。延長152mの土留め壁を構築した。施工期間は2025年4月29日から7月7日までの約2カ月間。

現場は硬質地盤で、従来工法では振動式大型杭打ち機が必要となる条件だった。しかし周辺には築古物件や集合住宅、オフィスビルが隣接しており、施工スペースの確保が困難なうえ、振動による周辺建物への影響が懸念された。また既存コンクリート構造物の撤去工程が必要となり、工期長期化のリスクも抱えていた。

■技術的優位性が評価される

ジャイロプレス工法は、先端に「リングビット」と呼ばれる切削爪を装着した鋼管杭を回転圧入することで、既存構造物や硬質地盤を貫通する技術。無振動・無騒音施工が可能で、省スペースでの作業にも対応する。

今回の採用決定にあたっては、硬質地盤での施工能力に加え、既存コンクリート障害物を残置したまま杭を直接圧入できる点が高く評価された。事前掘削や残置物撤去が不要なため、工期・工費の大幅な削減が可能となる。

また「ジャイロパイラー™」は軽量・コンパクトな機体が既設杭を把持する構造のため、原理上転倒の危険性がなく、都市密集地での安全性も確保できる。

■医療・研究施設などへの展開期待

シンガポールでは本年1月の研究施設建設事業で初採用されて以降、採用実績が拡大。グアン・チュアン社と実施したデモンストレーションでは建設関係者から高い評価を獲得しており、今後は医療・研究・教育機関など配慮が必要な施設の老朽化対策や、都市再開発における採用が期待される。
技研製作所では今後、建築分野に加え、シンガポール国内で高まる高潮・洪水対策ニーズに対応し、空港や沿岸部における堤防・護岸強化事業への技術提案も推進する方針。現地GTOSS™会員企業との連携を強化し、アジア圏での案件創出と技術普及を加速させる考えだ。

同社の圧入技術は現在、世界40カ国以上で採用実績を持ち、地震・津波・洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築に貢献している。

【工事概要】
• 工事名:ホテル建設に伴う鋼管杭土留め工事
• 工事場所:24 Peck Seah Street, Singapore
• 発注者:24 PS ST PROPERTY PTE LTD
• 元請:Kim Hua Construction Pte Ltd
• 施工:Guan Chuan Engineering Construction Pte Ltd
• 使用機材:ジャイロパイラー™ GRV1230
• 杭材:鋼管杭138本(直径1000mm、長さ9.5~12m)
• 圧入工期:2025年4月29日~7月7日

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