三菱重工グループのMHIEC、金沢市の廃棄物焼却施設で43億円の大型改修工事を受注

・処理能力250t/日の老朽化施設を全面更新、2029年完成へ

三菱重工環境・化学エンジニアリング(MHIEC、横浜市西区)は10月16日、金沢市から同市東部環境エネルギーセンター(金沢市鳴和台)の基幹的設備改良工事を受注したと発表した。受注額は43億円(税抜)で、2029年3月の完成を予定している。

同工事は、1991年に竣工した処理能力125t/日のストーカ式焼却炉2基(合計250t/日)を全面的に改修するもの。経年劣化や部品製造中止により保守整備が困難となった主要設備を更新し、施設の長寿命化と省エネルギー化、CO2排出量削減を実現する。

■第3次改良工事で抜本的な設備更新

同センターでは2004年から2008年にかけて第1次、2014年から2018年にかけて第2次の基幹的設備改良工事を実施してきた。今回の第3次工事では、ごみ受入供給設備、燃焼設備、燃焼ガス冷却設備、排ガス処理設備、余熱利用設備など、焼却プラント全体の主要機器を更新する大規模な改修となる。

特筆すべき点として、高効率モーターや高効率変圧器の採用による省エネ化に加え、MHIEC独自の新燃焼制御システムを改良し、さらなる低空気比運転を実現する。これにより、より安定した燃焼が可能となり、運転効率の向上が見込まれる。

同センターは焼却余熱を利用した発電設備を備えており、発電能力は3,000kWとなっている。

■増加する長寿命化改修案件に対応

近年、全国の自治体では一般廃棄物焼却施設の老朽化が進む一方、新設には多額の費用と時間を要することから、既存施設の長寿命化を図る基幹的設備改良工事が増加傾向にある。加えて、カーボンニュートラルへの取り組みとして、省エネ化やCO2削減を同時に実現する改修ニーズが高まっている。

MHIECは2008年、親会社の三菱重工が長年培ってきた環境装置分野の技術とノウハウを継承。廃棄物処理施設の建設から運営まで含めた総合的なソリューション提案を強みとしており、多数の実績を有している。

同社は今回の受注をベースに、既存廃棄物処理施設の省エネ化、安定稼働の維持・向上、さらにライフサイクルコスト(LCC)の低減に向けた提案を積極的に推進し、基幹的設備改良工事分野での受注拡大を目指す方針だ。

【用語解説】
ストーカ式焼却炉:耐熱金属の角材を並べた火格子(ストーカ)の下から空気を送り、火格子上の廃棄物を移動させながら燃焼させる方式。国内の一般廃棄物焼却炉の主流となっている。

空気比:実際に焼却炉に送った空気量を、理論上の廃棄物燃焼に必要な最小空気量で割った値。低空気比運転により燃焼効率が向上し、排ガス量の削減とエネルギー損失の低減が可能となる。

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