・2035年を見据えた「本質デザイン」が評価—プラットフォーム戦略で製品開発を効率化
ヤンマーホールディングス(大阪市)は10月16日、同社が開発したコンセプト農業機械「YPV-L」およびコンセプトフォイリングセイルボート「YPV-S」が、ドイツの権威あるデザイン賞「Red Dot Design Award 2025」のデザインコンセプト部門で受賞したと発表した。同賞はノルトライン・ヴェストファーレン・デザインセンター(独)が主催する世界有数の国際デザイン賞として知られる。
今回受賞した2製品は、同社が昨年11月に発表した「YANMAR PRODUCT VISION(YPV)」に基づいて開発されたコンセプトモデル。YPVは2035年を想定し、各事業製品の”あるべき姿”を視覚化したビジョンで、様式にとらわれず本来の機能的価値を重視する「本質デザイン」の思想を採用している。
農業機械「YPV-L」は、効率化と持続可能性を追求した次世代トラクターのコンセプトモデル。正確で力強い作業を実現する「剛健さ」と、流線形による「柔らかさ」を融合させたデザインが特徴だ。注目すべきは、建設機械「YPV-C」とキャビン部分を共通化するプラットフォーム設計を採用した点で、高い居住性と操作性を維持しながらコスト削減を実現する。また、キャビンレスの自動運転機仕様への対応も可能としている。
一方、「YPV-S」は独自の制御技術とエネルギー変換技術を搭載した次世代水中翼セイルボート。風力を効率的にコントロールし、初心者でも容易に操縦できる設計となっている。水中翼により静粛性の高い走行を実現し、浅瀬へのアクセスも可能だ。
同社は、YPVから生み出したデザイン要素と従来培ってきた技術を統合し、デザインプラットフォームとしてさまざまなプロジェクトに展開する方針。これにより、デザインの効率化と高度化を両立し、顧客価値の最大化を図る。
なお、今年7月には同社グループのヤンマーパワーソリューションが開発した舶用水素燃料電池システム「GH240FC」も、同賞のプロダクトデザイン部門で入賞している。
ヤンマーは1912年創業、1933年に世界初のディーゼルエンジン小型実用化に成功した産業機械メーカー。現在、アグリ、建機、マリン、エネルギーシステムなど幅広い事業をグローバルに展開し、環境負荷フリー・GHGフリーの企業を目指している。
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