・ギガワット級施設に対応、800VDC給電アーキテクチャを支援
ABB:2025年10月13日
ABBは10月13日、NVIDIAとの協業により、次世代ギガワット級AIデータセンター向けの電力ソリューション開発を加速すると発表した。AIワークロードの急増する電力需要に対応するため、高効率でスケーラブルな電力供給システムの開発・実装に注力する。今回の協業では、NVIDIAが導入を計画している1メガワット級サーバーラック向けの800VDC給電アーキテクチャを技術的に支援する。ABBが強みとする直流(DC)給電技術とソリッドステート電子機器の専門知識を活用し、研究開発プロジェクトを推進していく。
■中圧UPSとDC給電を組み合わせた新アーキテクチャ
このレベルの電力を効率的に供給するには、電力分配技術とアーキテクチャの大幅な進歩が必要となる。次世代データセンターの電力アーキテクチャでは、中圧(MV)無停電電源装置(UPS)と、ソリッドステートパワーエレクトロニクス機器を使用したサーバールームへのDC給電を組み合わせた構成が採用される見込みだ。
ABB電化事業部門のジャンピエロ・フリシオ(Giampiero Frisio)社長は「ABBは次世代データセンターを実現する重要な電力分配技術の開発をリードしている。最先端のUPS、DC給電、ソリッドステート電子機器への早期投資により、AIの増大する電力需要に対応できるデータセンターの実現を可能にする」と述べた。
■2030年までに世界のデータセンター需要は220GWに
Dell’Oro Groupの予測によると、世界のデータセンター需要は2024年の80GWから2030年には約220GWまで増加し、設備投資額は1兆ドルを超える見通しだ。この成長の約70%をAIワークロードが占めると予想されている。
NVIDIAのディオン・ハリス(Dion Harris)上級ディレクター(HPC、クラウド、AIインフラ担当)は「世界中でAI需要が拡大し続ける中、データセンターには効率を向上させ設計を簡素化する新しい給電アプローチが求められている。NVIDIAとABBの協業により、次世代AIを支える高密度AIインフラに必要な800ボルトアーキテクチャへの業界の移行を支援する」とコメントした。
■ソリッドステート技術で高密度化と高効率化を実現
ABBのデータセンター向けポートフォリオには、インテリジェント配電システム、バックアップ電源ソリューション、デジタル監視など、AIサーバーの継続運用とエネルギー利用最適化に不可欠な技術が含まれる。同社の電化分野における科学研究の約40%は、電気アーキテクチャ、保護装置、DC配電、冷却など、次世代データセンターに不可欠な分野に集中している。
ABBの最近のイノベーションとしては、世界初のソリッドステート中圧UPS「HiPerGuard」や、IEC認証を取得した世界初のソリッドステート回路遮断器「SACE Infinitus」などがある。これらのソリューションにより、AIデータセンターはより小さな設置面積で電力密度とエネルギー効率を向上させることが可能になる。
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