・飼料収穫機の生産体制を強化
クラース(CLAAS):2025年10月13日
ドイツ・バート・ザウルガウ発 農業機械大手のクラース社(CLAAS)は10月13日、同社の飼料収穫機械生産拠点であるバート・ザウルガウ工場(Bad Saulgau)において、5,000万ユーロ(約88億円、176円換算)超の大規模投資を完了したと発表した。「ForageGO!」プロジェクトの一環として、新物流センターの建設と組立エリアの拡張を実施し、新シーズンに合わせて稼働を開始した。
同工場は世界的な飼料収穫機械の製造拠点として、現在850名の従業員を擁する。クラース社のトーマス・シュピーリング最高執行責任者(Thomas Spiering, COO)は「バート・ザウルガウはクラースグループの中核拠点であり、飼料収穫分野における革新性と品質の象徴だ。国際的に高い評価を得ている同拠点を基盤に、次の成長段階へ進む」と述べた。
■最新鋭の物流センター、約1年で完成
新物流センターは総面積9,600平方メートルで、約1年の建設期間を経て完成した。建設に際しては9万立方メートルの土壌移動が必要となり、既存の組立工場に隣接して建設された。
施設内には小型容器とユーロパレット用の全自動倉庫、ピッキングエリア、大型塗装部品用保管スペース、最大3台のトラックを同時に荷降ろしできる入荷エリアを備える。
環境面では、ドイツの建築物エネルギー効率基準「KFW 40」に準拠して建設され、屋上全面に出力990kWpの太陽光発電設備を設置した。
■新型フォレージハーベスタで生産量増加
クラース社は最近、新製品「ジャガー1000」(JAGUAR 1000)シリーズを発表し、フォレージハーベスタの製品ラインナップを拡充した。高性能な作物フローシステムと大型アタッチメントにより、バート・ザウルガウ工場の生産量は大幅に増加する見込みだ。
これに伴い、飼料収穫用大型機械の生産も本格化している。生産能力増強に最適化された新たな組立レイアウトで製造が進められている。
ウルリッヒ・ニコル工場長(Ulrich Nickol)は「プロジェクトチーム、ゼネコン、倉庫設備サプライヤーが優れた仕事を成し遂げ、予定の時間とコストを守った。新工場レイアウトでのスタートは絶好のタイミングだ」と評価した。
2026年の収穫シーズンに向けた製品供給のため、すでに多数の派遣従業員が生産部門で稼働している。
■将来の拡張に向けた準備も進行
現在、同工場内の旧鋳造施設の解体が進められており、10,700平方メートルの追加用地が確保される。2026年には約1,700平方メートルの新カスタマイズセンターの建設を計画しており、顧客仕様への改造、製品監査、手直し作業を実施する予定だ。
また、物流パートナーのグリースハーバー社(Grieshaber)が2025年4月、クラース工場近隣に7万平方メートルの新拠点を開設した。完成品の一時保管、仕分け、世界各地への出荷業務を一元化し、トラック輸送や海上コンテナ輸送に対応する。生産量増加に伴う物流需要の拡大に対応し、長年のパートナーシップを強化する体制を整えた。
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