クボタ、全地形型車両「KATR」が世界的デザイン賞を受賞

・不整地走行プラットフォーム、レッドドット・デザイン賞で評価

クボタは10月15日、開発中の全地形型プラットフォーム車両「KATR」が、世界三大デザイン賞の一つである「2025年レッドドット・デザイン賞」のデザインコンセプト部門で「レッドドット賞」を受賞したと発表した。同賞は独ノルトライン・ヴェストファーレン・デザインセンターが主催し、60年以上の歴史を持つ国際的なデザイン賞として知られる。

KATRは、4本の脚を油圧で独立制御することで、傾斜地や凹凸のある不整地でも荷台を水平に保ちながら走行できる次世代型車両。最大240キログラムの積載物を運搬可能で、農業や林業、建設業、災害現場など幅広い分野での活用が期待されている。

■モジュール設計で柔軟な対応を実現

同車両の最大の特長は、製品設計とデザインの両面でモジュール設計を採用している点にある。車幅やホイールサイズなどの仕様を柔軟に変更でき、作業条件に応じた最適なカスタマイズが可能だ。多様な機器と組み合わせるプラットフォームとして機能することで、現場のニーズに幅広く対応する。

デザイン面では、人と協働する車両としての親しみやすさと力強さを兼ね備えた外観を実現。前後対称の形状は自動運転車両としての機能性を象徴している。さらに、光や音による車両状態の表示や作業提案を構想しており、照明による進行方向の明示や音声による作業提案など、双方向コミュニケーションによる人と機械の自然な協働を目指す。

■自律型車両化を視野に

クボタは将来的に、AIや自動運転技術を活用した自律型車両化を構想している。人との協働を前提とした設計思想は、労働力不足が深刻化する産業現場において、重要なソリューションとなる可能性を秘めている。

今回の受賞について、審査では革新性、美的品質、実現可能性、機能性、感性価値、影響力の6項目で総合評価が行われた。開発段階にある製品を対象とするデザインコンセプト賞での受賞は、同社の技術開発力とデザイン力の高さを国際的に認められた形となった。

クボタは「優れた技術による未来を描きながら、顧客に寄り添った製品開発に取り組む」としており、今後も現場のニーズを探求し、期待に応える製品とソリューションの提供を続けるとしている。

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