・OTとITの融合を促進、3つのバリエーションで多様なニーズに対応
ボッシュ・レックスロス (Bosch Rexroth ):2025年10月7日
ローア・アム・マイン(ドイツ)発、ボッシュ・レックスロス社は10月7日、同社のオープンソースLinuxベース産業用オペレーティングシステム「ctrlX OS」に、仮想化対応版、3つの新バリエーション、および新機能を追加したロングタームサポート(LTS)版3.6をリリースしたと発表した。産業オートメーション分野における柔軟性の向上、OT(オペレーショナルテクノロジー)とITのシームレスな統合、および高度なセキュリティ確保を目指す。
■仮想化でOTとITの境界を撤廃
今回の主要な強化点は、ctrlX OSの仮想マシン版の提供だ。ユーザーは自社のサーバーインフラ上でこの仮想化版をホスティングできる。インターフェース、データモデル、アプリは物理版と同一のまま、リソース利用の効率化、柔軟なスケーラビリティ、既存IT運用プロセスによる管理の簡素化が可能になる。
同社オートメーション&電動化ソリューション事業部のシュテファン・ヴィンクラー(Steffen Winkler)上級副社長(営業担当)は「ctrlX OSの仮想化により、機械制御とITの間の最後の壁を取り払った。リアルタイム要件が厳しい用途ではコントロールシステム上で、そうでない用途ではエッジデバイスやサーバー上で、最適な場所でアプリケーションを実行できる柔軟性を提供する」と述べている。
■3つのバリエーションを用意
ctrlX OSは、ユーザーの要件に応じた3つのバージョンで提供される。標準版は、x86/64ハードウェア向けの既製システムイメージで、迅速な導入を求める企業向け。カスタマイズ版は、カーネルレベルでの技術的調整が可能で、特定のハードウェアドライバの統合などに対応する。プレミアム版は、OS全体とデジタルインフラにわたる深いカスタマイズを可能にし、ブランディングやユーザーガイダンスまで含めた包括的な製品統合に最適だ。
いずれのバージョンでも、オープンインターフェース、無償のソフトウェア開発キット(SDK)、コミュニティ、一元的なデバイス管理へのアクセスが可能となっている。
LTS 3.6でシステムレベルの改善
新たなLTS版3.6では、ネットワークドライブの統合によって他のコンピュータやサーバーのストレージロケーションを組み込めるほか、USBメモリやSDカードなど外部メディアへの容易なアクセスが可能になった。新設のパーティションマネージャーは効率的なストレージ管理を提供。また、高可用性ネットワークを確保する冗長化プロトコルのサポートや、TCP(伝送制御プロトコル)レベルでのネットワークトラフィックの詳細解析機能も追加された。
■セキュリティを全レベルで確保
ctrlX OSは、セキュアバイデザイン原則に基づいて開発され、IEC 62443-4-2セキュリティレベル2の要件を満たし、テュフ・ラインランドの認証を取得。欧州のサイバーレジリエンス法(CRA)の要件にも対応済みだ。ヴィンクラー氏は「2027年末までに、ctrlX AUTOMATIONオートメーションシステムの全製品をCRA基準に適合させる」と表明している。
ハードウェア非依存のctrlX OSは、フィールドレベルからクラウドまで幅広いデバイスで動作し、スマートフォン型のアプリ技術と標準化インターフェースにより、独自システムに依存しない柔軟な自動化ソリューションの構築を可能にする。ボッシュ・レックスロスとパートナーネットワーク「ctrlX World」は、モーション制御、通信、データ解析、セキュリティなど多様な自動化課題に対応する多数のアプリをctrlX OSストアで提供している。
コメントを投稿するにはログインしてください。